王子様とお姫様のお祭り
2009.08.23 Sunday | category:投稿&頂き物SS
ど、どうしよう……? あ、どうもtanakaです。
そんな事よりどうしましょう?
彼女達が、アリすず達が夢の中でもイチャイチャするんです。
こんな時は一体――
a. とりあえずニヤニヤする
b. とりあえず鼻血を出して出血多量で死の淵を漂う
c. とりあえずイチャイチャを止める
やはり答えは……
d. 優雅にコーヒーでも飲みながらニヤニヤするでしょうか?
二人のあま〜い空気があれば、きっとコーヒーも甘くなる。
まぁ、ブラックも嫌いではないんですけどね。
そんな事よりどうしましょう?
彼女達が、アリすず達が夢の中でもイチャイチャするんです。
こんな時は一体――
a. とりあえずニヤニヤする
b. とりあえず鼻血を出して出血多量で死の淵を漂う
c. とりあえずイチャイチャを止める
やはり答えは……
d. 優雅にコーヒーでも飲みながらニヤニヤするでしょうか?
二人のあま〜い空気があれば、きっとコーヒーも甘くなる。
まぁ、ブラックも嫌いではないんですけどね。
お祭り。そんな何処にでもある普通のお祭り。
あたしはそんなお祭りに二日連続で参加している。
一度目はいつものメンバーで、そして今日は――すずかと二人っきりでお祭りに来ている。
いつものお馴染みのメンバーでお祭りを楽しむのもいいけど、すずかと二人でお祭りを楽しむのも悪くは無い。
と、いうかあたし的にはすずかと二人きりの方がいいかもしれない。
賑やかなのもいいんだけど、こう……すずかと二人っきりっていうのが……ね?
それにしても、すずかの浴衣を着た時の色っぽさはズルイと思う。
こんなの見ているだけで、頭が沸騰しそうになるっていうか……色々と衝動に駆られそうになる。
一応エスコートする王子様としては、間違ってもそんな姿は見せられないわけで……
ここまで何とかしてきたんだけど、今は違う意味でピンチになっている。
始まりは、すずかのある言葉からだった――
『あ、金魚さんだ♪』
すずかとしては、きっと何気ない一言だったのだろう。
しかし、あたしとしては眼をキラキラと輝かせているすずかを見てしまった以上、何とかしないといけないわけで、
「金魚欲しいの?」
「え……あ、うん」
金魚なんていつでも買う事は出来るんだけど、お祭りでそれを言ってしまったら無粋ってもんよね。
それに、この場で金魚を手に入れる事に意味があるんだから。
「おじさん、一回させてもらうわよ」
「はいよ」
あたしはおじさんにお金を渡して、ポイを受け取る。
「あ、アリサちゃん?」
「大丈夫よ。こんなのすぐに取ってあげるんだから」
別に金魚掬いが得意というわけでも無いんだけど、すずかの手前恥ずかしい真似は出来ないわね。
深く深呼吸をすると、あたしは金魚目掛けてポイを動かした――
「残念失敗だな。お嬢ちゃん」
「く……っ」
金魚を掬う事すら出来ずにポイが破れてしまう。
「おじさん」
あたしは再びお金を差し出してポイを要求する。
「はいよ」
ポイを受け取ったあたしは、今度は失敗しないように慎重に狙いを定めて――
「また失敗だな」
「く――っ」
再び失敗をする。それでも諦めずに、
「もう一回」
「ああ、頑張ってな」
今度こそはと思い挑戦する。
しかし、時に人生とは残酷なもので――
「また失敗だな」
「…………」
「アリサちゃん……」
一体何回挑戦したか分からないくらいに、あたしの足元には破れてしまっているポイの残骸があった。
こんだけやって、一匹も捕まえる事が出来ないなんてよほどあたしが下手なのか、それともこのポイに何か細工
がされているのだろうか? いや、そんなのはただの言い訳に過ぎないわね。
ただ現実として、あたしはすずかに情けない姿を見せているという事だけだ。
「あ、アリサちゃんもういいよ……」
挙句には同情までされてるし……しかも今にも泣きそうな顔で。
ねぇ、何でそんな泣きそうな顔をするのよ? あたしはすずかの笑顔が見たかっただけなのに、なのにそんな顔をされたら――
「最後……」
「え?」
「最後にもう一回だけ……」
最後にもう一度だけチャレンジをする。本当に最後の一回。これで失敗してしまったらあたしは、王子様として失格だ。
王子様として、お姫様の要望には応えなくてはいけない。
これはあたしの王子様としての最後の意地である。
だから――
結果から言わせてもらうと、あたしは見事金魚を掬う事が出来た。
途中自分の不甲斐なさに泣きそうにもなったけど、必死で我慢した。
金魚掬いに少々お金を使いすぎてしまったけど――
「えへへっ♪ ありがとアリサちゃん」
まぁ、すずかのこの笑顔を見る事が出来たのでよしとしよう。
それに――
すずかが、お礼だとかご褒美だとか言って膝枕をしてくれているから、むしろ得した気分である。
「ねぇ、アリサちゃん……来年も」
「ん?」
「来年もこうして、二人っきりでお祭りに行こうね♪」
更にはこんな事まで言われたのだ、後悔なんてするはずが無い。
「そうね。また来年も――」
すずかと二人で幸せな一時を――
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