ある日の八神さんち(家族計画編)
2006.08.06 Sunday | category:なのはSS(八神家)
八神家の日常(?)第2弾。八神家の面々を普通の家庭に置き換えたら、役割は……という話。
今回もやっぱりぎこちないエセ三人称ですごめんなさい。またヴィータも出番少ないですごめんなさい。でもこの面々の掛け合いを書くのは楽しいですね。シグナムさんはいじりやすいなぁ。
今回もやっぱりぎこちないエセ三人称ですごめんなさい。またヴィータも出番少ないですごめんなさい。でもこの面々の掛け合いを書くのは楽しいですね。シグナムさんはいじりやすいなぁ。
「あー、えーお湯やったー」
「そうですね」
風呂上がり。シグナムに抱っこされてはやてがリビングに戻ると、キッチンのシャマルが気付いて顔を上げた。
「2人とも上がったのね。じゃあザフィーラ、あなたも入ってらっしゃい」
「…………いえ、私は」
「ザフィーラ、お風呂苦手なんは仕方ないけど、あまり入らんと臭くなるよ?」
鼻を押さえてみせるはやてに、ザフィーラ(犬形態)は困惑したように眉を寄せる。
『それに、不潔にしとったら、アルフさんに嫌われてまうかもなー』
これは念話。そしてこの一言が効いたらしく、ザフィーラは尻尾をうなだれさせた。
「…………………………了解しました」
リビングを出て行くザフィーラの後ろ姿を見送り、それからはやてはソファに下ろしてもらう。
「はやてちゃん、麦茶でも飲みますか?」
「あ、ええなー」
「あたしもー!」
テレビのバラエティにかじりついていたヴィータが振り返る。
「……私も、いただこう」
「はいはい、全員分ね」
グラスと麦茶を用意し始めるシャマル。おおむねこんなところが、いつもの八神家の夜の光景だ。
「ヴィータ、CMの間だけ、ちょぉチャンネル変えてええ?」
「ん、はい」
ちょうどバラエティがCMに入る。リモコンではやてが映したのは野球中継だった。
「なんや、阪神負けとるやないか。これ以上中日と差ぁついたら優勝でけへんのに」
「はい、はやてちゃん、麦茶ですよ」
「ありがとな、シャマル。ヴィータ、チャンネル戻してええよ」
「ん」
チャンネルを変えると、ちょうどバラエティが再開したところだった。冷たい麦茶を口にしつつ、はやても見るともなく画面を眺める。
「よし、後片付けおしまいっと」
戸棚を閉めて、エプロンを外したシャマルがキッチンから顔を出す。
「シャマル、後片付け任せてもうてごめんな」
「いえいえ……あ、そうだ、はやてちゃん」
「んー?」
「耳掃除してあげますね」
「え、ええよ別にそこまで、ひとりでできるって」
「いいですから、ほらほら」
と、半ば強引にはやてに膝枕するシャマル。はやても諦めたか、大人しくその膝の上に頭を預けた。
「痛かったり、くすぐったかったりしたら言ってくださいね」
「うん、解った」
……こりこり。耳の中をくすぐられる感触のこそばゆさに、はやては少し笑いをこぼしてしまう。
「シャマルの膝枕も、ええ感じやなー……」
「わぁ、そうですか?」
「んー、なんや、あったかくて、やわらかくて……まるで、お母さんみたいや……」
「……あ……」
シャマルの手が止まる。その沈黙に、はやては慌てたように言葉を続けた。
「べ、別にシャマルがおばさん言うてるわけやないよ?」
「……はやてちゃん、そのフォローは余計傷つきます……」
「あ……あはは……」
うーん、まだまだ主としてあかんなぁ。そんなことを思いながら、はやては再びシャマルの膝に頬を乗せた。
「うん、やっぱりええ感じや」
すりすり。頬ずりしてみると、シャマルはくすぐったそうに声をあげる。
「は、はやてちゃん……もう、じっとしてて」
「はーい」
ふふふ、と笑みを漏らすはやてに、シャマルは小さく苦笑ひとつ。
『……シャマル』
ふと念話が届く。シグナムからだ。
『主はやても……やはり、まだ9歳の子供なのだろうな』
『そうね……この歳の子供は、まだまだ誰かに甘えたい頃のはずだから……』
そう、自分たちの主が、その年齢には不相応なほどにしっかりとしているから、守護騎士たちも忘れそうになるのだ。
八神はやてという少女が、まだ9歳の少女に過ぎないということを。親に甘えたい年頃の、子供だということを……。
「……はやてちゃん」
「ん?」
「私……本当に、お母さんみたいですか?」
「……せやな。シャマルは、お母さんみたいに、あったかいよ……」
その言葉に、シャマルは微笑んで、主の髪を優しく撫でた。……お母さんというのも、悪くないかもしれない。
「んー、シャマルがお母さんなら、やっぱりシグナムがお父さんかな」
と、不意にはやてがそんなことを言い出す。ガタ、とシグナムが腰掛けていた椅子が音をたてた。
「お、お父さん、ですか……?」
「せや、シグナムはお父さんや。お母さんのシャマルと、らぶらぶな夫婦やで」
「らっ……そ、それは、ちょっと、」
「そんな……シグナム、私とのことは遊びだったの? ひどいわ、信じてたのに!」
「シャ、シャマル、お前まで何を――」
狼狽するシグナムに、はやてとシャマルは2人で笑う。その声に気付いたか、バラエティに夢中になっていたヴィータも振り向いた。
「それで、ヴィータはあたしの妹や」
「いもうと? あたしが、はやての?」
「そや。シグナムがお父さんで、シャマルがお母さんで、あたしとヴィータが娘や」
「……なぁシグナム、どういう話の展開なんだ?」
「私に聞くなっ」
「ヴィータ、あたしのこと、おねえちゃん、ってちょお呼んでみ」
はやての言葉に、展開についていけていないヴィータは、首を傾げながらも答える。
「お……おねえちゃん?」
「ん〜〜〜〜〜っ、ヴィータはかわええなぁ〜〜っ!」
がばっと、はやてがヴィータに抱きついた。
「は、はやて、苦しいっ……」
ヴィータは呻くが、はやてに頬ずりされている様子はそんなに苦しそうにも見えない。むしろちょっと嬉しそうだ。
それを眺めながら、シグナムは小さく息をつく。
「お父さんというのは、喜ぶべきところなのか?」
「いいじゃない。家族っていうことなんだから」
「……そうか、そうだな」
「ね? あ・な・た♪」
「っ!?」
ぷに。シャマルの指に頬をつつかれ、シグナムはまたびくりと身を竦める。
「シャ、シャマルっ」
「うふふ……じゃあ、娘たちも仲良しだし、私たち夫婦も夫婦らしくしましょうか……?」
「お、おい、シャマル、なっ、何を………………あ、あぁぁぁぁぁぁ………………」
……そんな、あまりいつも通りではないかもしれない、八神家の夜は更けていく……
◇おまけ1◇
カッポーン。
「……なにか、私だけ忘れられているような気がするのだが……」
浴室の湯気の中で、ザフィーラはひとり、何か言いしれぬ疎外感に襲われていた。
◇おまけ2◇
「ねえ、はやてちゃん」
「なんや、すずかちゃん」
「何だか……この間に比べて、シグナムさんとシャマルさん、ちょっと仲良しになってない?」
「そうかな? シグナムもシャマルも、最初から仲良しさんやよ?」
「うん、でも……なんだか……」
「?」
「あ、ううん、なんでもない」
「シグナム、はい、あーん」
「シャ、シャマル、そんなことは……」
「いいからはい、あーん」
「…………あ、あーん」
(……なんだか、なのはちゃんとフェイトちゃんを見てるみたいな感じなんだけど……)
(………………)
(み、みんな仲良しさんで、良いこと……なんだよね?)
Comment
いい家族・・・と思いました。本当に。家族とは、血縁という関係だけではありませんね。やはり。家族というのは家族という「絆」が必要。そして、その「絆」が、家族の幸せの「形」なのですよね。
Posted by: スズメバチ |at: 2007/02/11 12:59 AM
>スズメバチさん
浅木原は葉鍵で育ったオタなので、家族ネタ、絆の話には弱いし、自分でもそういう話を書くのは好きなんですよね。まぁこの作品は別にそんないい話では無いと思いますが(笑)。というかシャマル×シグナムとヴィータに「おねえちゃん」と言わせたかっただけ(ry
浅木原は葉鍵で育ったオタなので、家族ネタ、絆の話には弱いし、自分でもそういう話を書くのは好きなんですよね。まぁこの作品は別にそんないい話では無いと思いますが(笑)。というかシャマル×シグナムとヴィータに「おねえちゃん」と言わせたかっただけ(ry
Posted by: 浅木原忍 |at: 2007/02/12 4:09 PM
はじめましてm(_ _)m
やっぱ本編でもこーゆーのをやって欲しかったです;;
これとは別にシャマル×シグナムを読みたいですw
やっぱ本編でもこーゆーのをやって欲しかったです;;
これとは別にシャマル×シグナムを読みたいですw
Posted by: れあな |at: 2007/10/31 2:21 PM
>れあなさん
はじめましてー。StSは家族としての八神家成分薄かったですしねぇ。
あと浅木原はどっちかとゆーとシグヴィタ派でして(ry
はじめましてー。StSは家族としての八神家成分薄かったですしねぇ。
あと浅木原はどっちかとゆーとシグヴィタ派でして(ry
Posted by: 浅木原忍 |at: 2007/10/31 7:05 PM
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