小さくてもなのはさん
2009.05.13 Wednesday | category:投稿&頂き物SS
tanakaさんよりなのフェイの新作ですよー。
「早速やけどなのはちゃん、これを飲んでくれんやろか」
なのはに如何にも怪しげな薬が渡される。
「え、えっと……はやてちゃん……?」
「はやて? 私はそんな名前とちゃうよ」
「い、いや……誰がどう見てもはやてちゃんなんだけど……」
はやてと呼ばれた女性は、顔を謎の仮面で隠しているのだがどうやらバレバレらしい。
「私の事なんてどうでもええんよ。とにかくその薬を飲んで欲しいだけやから」
「で、でも、こんな怪しい薬はちょっと……」
別に毒というわけでは無いのだろうけど、あまりにも怪しすぎて飲む勇気が湧かない。
「大丈夫やて。ホンマにお願いやから飲んで下さい」
よほどその薬を飲んで欲しいのだろう。最後は土下座でもするかのような勢いで頼み込む。
「う……ほんとに大丈夫なんだよね?」
「勿論や。なのはちゃんに危ない物なんか渡すはずないやんか」
「じゃ、じゃぁ、少しだけ………」
押し負けて仕方なく怪しげな薬を飲む。
結局その日は何も変化が起きなかったが、翌日事件は起きた――
「ふぇえぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇっ!」
静かな朝に不釣り合いな声が響き渡る。
「な、なのはっ! どうしたの!?」
大切に想っている人の悲鳴に反応して、すぐさまフェイトがなのはの所へと駆けつける。
「あ、フェイトちゃん」
「なの――ぶはっ!」
「ふぇ、フェイトちゃ――ん!」
助けを求めるなのはの姿を見た瞬間にフェイトは、鼻血を勢いよく出しその場に倒れる。
「ふぇ、フェイトちゃん大丈夫?」
「ふふ……なのは……さすがにその姿は反則だと思……う」
「フェイトちゃ―ん!」
そのままフェイトは意識を失う。
フェイトが言っていたようになのはは今、普通の姿では無い。子供の姿になっているのだ。
しかしなのはは、好きでこの姿になっているわけでは無い。朝気がついたらこの姿になっていたのだ。
それにしても、何故子供の姿に――――
「あの薬………」
前日の夜に渡されて飲んだ薬がなのはの脳裏を過る。
瞬間――なのはは、はやての所へと走って行く。
「はやてちゃん! これはどういう事なの!?」
「お〜なのはちゃん。これは見事な子供の姿やな〜」
「はやてちゃん、あの薬の効果知ってて飲ませたんでしょ」
「それが何か?」
「何でこんな事するの?」
「それは……」
はやては、わざとらしく言葉に間を空けた後、高らかに宣言した。
「なのはちゃんの幼女姿が見たかったからや――!」
「ぁ……」
あまりに素直過ぎるその台詞に混乱し、つい言葉を失ってしまう。
しかし、その混乱も落ち着いてくると実に腹立たしい事で、
「いいから、早く元の姿に戻しなさ―――――――いっ!」
我を忘れて大声で怒ってしまう。
「うぅ……なのはちゃん怖過ぎ………」
「はやてちゃんが悪いの! これ以上怒られたくないなら、早く元に戻して」
「そ、それやけど……実は………」
はやては衝撃の事実を突き付ける。
「実は……すぐには戻らんのよ」
「え……?」
「ま、まぁ、なのはちゃんも少量しか飲んでないし、一日か二日で元に戻れるやろ」
今回の事件の犯人なのに、本人は反省するどころか楽しんでいるかのような顔で説明をする。
「そんなわけで残念やけど――」
「反省しなさ――――――――――――――いっ!」
本日二度目のなのはさんのカミナリが落ちる。比喩的言葉では無く、実際にはやての身にカミナリが落ちる。
「もうっ! はやてちゃんのばぁ」
最後まで怒ったままなのはは、部屋を出て行く。
そしてカミナリが落ちたはやては――
「あ…が………な、なのはちゃんの……幼女姿……萌…え………」
なのはの幼女姿を眼に焼きつけて意識を失う。
「まったく……はやてちゃんは……これじゃ、今日の教導出来ないよ……」
まだ怒りが収まらないのか、ぶつぶつと文句を言いながら六課の中を歩いている。
なのはが今日の教導をどうするか悩んでいる所に、
「あれ、あんな所に子供がいるわ」
「あ、ほんとだ。誰かの子供かな?」
偶々通りかかったスバルとティアナが見知らぬ子に興味を惹かれたのか、なのはに近づいて来る。
「ねぇ、君何処から来たのかな? あまりウロウロしてると……」
「スバル?」
なのはの顔を見たスバルが急に大人しくなる。
「こ、この子……すっごくなのはさんにソックリじゃない?」
「あんたね……そんな訳無いでしょ。どれだけなのはさんの事が好きなのよ?」
とんでもない事を言いだすパートナーに呆れつつも突っ込みを入れる。
「で、でも……」
「でもじゃないわよ。少しくらい似ている人はいるかもしれないけど、ソックリっていうのはあり得ないわよ」
「ちょ、ティア。ちゃんとよく見てよ」
「分かったわよ。見ればいいんでしょ。見れば……」
スバルがあまりにもしつこいので、仕方なく見る。
「ね、ソックリでしょ?」
「う、うん。ソックリすぎるわね」
「もしかして、なのはさんの家族の人かな?」
「それこそあり得ないわ。それにしてもこの子は一体……」
二人して頭を悩ましている所に、なのはが申し訳なさそうに真実を告げる。
「あ、あのね……わたし本物の高町なのはなんだけど……」
「え、本物のなのはさん……?」
「ほ、本当に……?」
「うん……」
本当に申し訳なさそうに頷く。
「「え、えええええええええっ!?」」
「え、本物って何でそんな事に?」
「はやてちゃんのせいで………」
「ああ……」
二人は、はやての名前を出した瞬間に全てを理解した。はやてはこれまで色々となのはに、変な事をしてきている
という前例があるから………
「「それにしても……」」
二人の目つきが妖しく光る。
『『小さいなのはさん。可愛いなぁ……』』
「うにゅ?」
ぶはっ!?
なのは特有の小首を傾げる仕草に二人は盛大に鼻血を出して倒れる。
ただでさえ、彼女の仕草は破壊力があるのに幼い彼女の仕草は普段のそれを遥かに凌駕してしまう。
大量の鼻血を出しながら二人はピクピクと痙攣していた。
「おいおい、一体何の騒ぎだ?」
そこにヴィータが駆けつけ………
「あ、ヴィータちゃん!」
「な、なの―――――ぶっ!?」
幼いなのはの姿を見た瞬間落ちる。
幼い彼女は、様々な人達を大量の鼻血とともに落としていき、被害を広げていく。
「うぅ〜身体は小さくなるし、わたしを見た人たちは皆気絶するし何なの?」
今日の日々を振り返りながら、はやての口車に乗ってしまった事に後悔していると、
「な〜の〜は〜ちゃん。やっと見つけたで」
「なのはっ! 幼いなのはっ! 小学生なのはっ!」
完全に冷静さを失っている二人が目の前に現れる。
「今回は逃がさへんで」
「うふふ〜身体の隅々まで幼いなのはを堪能するんだ〜」
そして激しく息を荒立てながら近づいてき、
「「いっただきま―――すっ!」」
「きゃぁあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
『Starlight Breaker』
二人は光になった。
後日談――
なのはの姿も事件の翌日にはちゃんと元に戻っていて、
この事件を引き起こしたはやては、元に戻ったなのはさんに再び鬼のような説教を受け、
フェイトさんはというと、
「うぅ……なのは〜ごめんよ〜」
暫くなのはさんに近づく事を禁止されたとか。
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