越えられない壁
2009.04.28 Tuesday | category:投稿&頂き物SS
相変わらずハイペースなtanakaさんからまたアリすずですってよ!
最近になって、思い知らされた事がある。
どうやらあたしはすずかに対してイニシアチブが取れないという事に。
いや、始めはあたしが優位に立っているはずなのに、気がつくとすずかが優位に立っている。
それがどうしたって思うかもしれない。だけど、あたしは常に優位に立っていたい。
そして、すずかをリードしていたいのだ。
しかしすずかはかなり手強い。そのすずかに対して優位に立つには、まず初めにすずかの余裕を無くさないといけない。
そのためには―――
「す、少し……いやかなり恥ずかしいけど、これしか無いわね」
小学生の時のスクール水着を片手に拳を握る。
「すずかは何故かいつも余裕があるから、これぐらいしないとダメだわ」
大人の身体に小学生のスクール水着という、本来ならあり得ないこの格好ならすずかも……
あたしは、深く深呼吸をしてすずかに電話をする。
すずか……覚悟してなさいよね。このあたしアリサ・バニングス一世一代の大勝負を……
「アリサちゃん、急いで来て欲しいって言っていたけど、何の用なのかな?」
すずかは余裕の笑みで、しかしあたしの言葉に急いで来て少し乱れた息使いで用件を聞いてくる。
ふふん。見ていなさいよ。すぐにその余裕をあたしが奪ってあげるんだからね。
あたしは、軽い笑みを浮かべながらジャブ程度に考えておいた台詞を言う。
「実は……すずかに今すぐに会いたくなって……」
「え……?」
それを聞いたすずかは、驚きながらも顔を少し赤らめていた。
まだまだ、これからよ。
矢継ぎ早に次の行動に移す。
「すずか……」
ぎゅっ
「あ、アリサちゃんっ?」
そっと、優しくすずかを抱き締めそして――
「大好きよ。すずか……」
「あ、ああ、アリサちゃ……」
ふふ……いい感じにすずかの余裕も無くなってきてるみたいね。
じゃ、そろそろチェックメイトといくわよ。
「すずか……実はすずかに見てもらいたい物があるんだけど」
「え、あ……見てもらいたい物?」
「そう。見てくれる……?」
「あ、う、うん」
ここであたしは、完全勝利を確信してスクール水着姿を見せる。
「どう?」
「………………」
あたしの思った通りすずかは、目を白黒させて固まっている。
勝った。ついにすずかに完全勝利をした。そう思った瞬間――――
「……可愛い。可愛いよアリサちゃん……」
「え……?」
すずかが、何か小さな声でぶつぶつ言いながら近づいて来る。
「アリサちゃんはズルイなぁ〜そんなエッチな格好するなんて……」
「す、すずか……?」
「それで、私の前に出てくるってことは、誘ってるって事だよね? そうだよね?」
さ、誘ってなんか……てか、すずかあんた瞳が怖いんだけど……
「ほわぁ……大人の身体に小さなスクール水着……はふぅ〜」
い、嫌……こ、こないで……
「小さな水着がアリサちゃんの身体に食い込んで……エッチだよぉ……」
「す、すずか……お、落ち着きなさいよ……ね?」
後ろに後退しながらすずかを説得する。
こ、こんなはずじゃなかったのに……なんとかすずかを止めないと、結局いつもの通りになるじゃない。
なんとか説得しようと考えていると、
「ふふ……っ。恐怖に怯えるアリサちゃん可愛いよ」
お、終わった。
あのすずかの顔を見た瞬間理解してしまった。あたしじゃすずかに勝てないという事を。
大体すずかに勝負を挑むなんて愚かな事だったんだわ。
どんどん近付いてくるすずかを見ながらそんな事を思っていた。
「アリサちゃん……たっぷりと可愛がってあげるね♪」
「で、出来れば遠慮したいんだけど」
「ダメ♪」
あ、やっぱり? あたしもそろそろ覚悟を決めた方がいいのかもしれないわね。
「あははっ♪ アリサちゃん♪」
「あぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
越えられない壁は無い。そんな言葉を聞いた事があるけど、あたしにはすずかの壁を越える事は出来ないようだ。
でも、何故だろう? 別にこの壁は越えられなくてもいいかなって思うのは……
え? 最初に言っていた事と違うって? そんなの知らないわよ。
だって、あたしはすずかの事が大好きなんだから。
だからあたしは、これでいいのよ。異論は認めないんだからね。
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