お願い
2009.04.06 Monday | category:投稿&頂き物SS
tanakaさんより今度はまさかのアリすずですってよ!
「ねぇ、アリサちゃん………」
「だ、ダメよすずか」
「何で? どうしてダメなの?」
「それは…………」
「は、恥ずかしいからに決まってるでしょ――っ!」
「そうかな? 可愛いと思うんだけど」
「だからって何で犬の格好なんか……」
すずかに大事な話があると言われて来てみれば、犬耳と尻尾を出して着けてって意味が分かんないわよ。
あたしはもっと、ほら……甘酸っぱい話なのかと思って期待してたのに……なのに、
犬の格好なんて他の人もそうだけど、すずかに見られた日には悶死するわよ。
「大体何で犬なのよ?」
まだ普通に可愛い服とかなら、まだマシだけど犬は……ね。
「だって、アリサちゃんと言えば犬さんだから」
「………」
確かにあたしは犬を飼ってるけど、だからってその考えは安直すぎないかしら?
「ほんとにダメなの? アリサちゃん……」
「う………っ」
で、出た。すずかのオドオドした瞳。
実に保護欲がそそられる。
こんな可愛い瞳で見つめられてNOと言える訳が無い。
「ずるいわよ。すずか……」
「ふふっ。ごめんねアリサちゃん♪」
そして、すぐに満面の笑顔になる。
このすずかの笑顔が見たいがために、すずかのお願いを聞いてしまうあたり、あたしは完全にすずか中毒なんだろう。
きっとこの場にはやてが居たら、からかわれていたでしょうね。
それでもあたしは、すずかには笑顔でいてほしいから、からかわれてもお願いを聞くんだろうな。
色々思う所はあるけど、言ってしまった以上は約束通りに着替える。
「こ、これでいいんでしょ?」
「…………………」
「す、すずか………?」
「あ、ああ………」
あたしの姿を見るなり急にわなわなと震え出す。
「アリサちゃんっ!」
「ちょ、きゃっ!」
いきなりタックルをかましてくる。
そして、そのままベッドに―――――
「す、すずか……は、離れて……」
すずかの下敷きになって身動きがとれないから離れるように言う。
だ、断じてすずかが重かったとかそういうんじゃ無いからね。ただ――
こんなに近くですずかの顔を見るのが恥ずかしくて……どうにかなってしまいそうだったから。
しかし、そんなあたしの願いも虚しく――
「……嫌」
「嫌って、すずかあんた……」
「だって、アリサちゃんが可愛いんだもん」
真顔でそんな事言われてあたしは――
「……すずかの方が可愛いわよ」
え……? い、今あたし何て言った?
い、いや……別にすずかが可愛くないってわけじゃなくて、何変な事口走って……
「アリサちゃん……」
すずかはすずかで何だかとろんとした瞳になって――しかもだんだんと顔が近づいてきているような……
「だ、ダメよすずか……」
あ、あたし達にはそういうのはまだ?早いわよ。
「私じゃ嫌?」
「そ、そんなわけ無いじゃないっ!」
あたしがそんな事思うわけ無いじゃない。で、でもこれはその少し――恥ずかしい。
「アリサちゃん……お願い……少しだけでいいから」
お願い。お願いかぁ……だったら仕方ないなのかな? お願いだもんね。
あたしも思考がおかしくなったのか、もうどうでもいいやって気分になって、それにキスは嫌じゃないし。
なによりすずかのお願いだから。聞いてあげないとね。
なんて、色々と言い訳をしながらそのまま身をすずかに委ねる。
もう、犬の格好とかキスとかどうでもいいわ。今はすずかといられるだけであたしは―――
――――幸せだから。
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