TALK to TALK
2006.11.13 Monday | category:なのはSS(アリサ×すずか)
誓って某ゲームとは何の関係もございません。てことで、アリサ×すずかの極甘SS第2弾。需要があるのかどうか果てしなく不明だけど書きたいから書くぜ! それが俺のジャスティス!
アリサとすずかが電話でひたすらラブラブトークするだけのSSです。それ以上の中身は無い! 「はじめての××」の続編というかその日の夜の話ですが、あまり気にせずどうぞ。あ、BURNINGとは繋がってませんよ? BURNINGの2人は恋人同士じゃないですよ? ホントですよ?
……あとバカップルにはやっぱりツッコミ役が必要だと思いましたまる。
アリサとすずかが電話でひたすらラブラブトークするだけのSSです。それ以上の中身は無い! 「はじめての××」の続編というかその日の夜の話ですが、あまり気にせずどうぞ。あ、BURNINGとは繋がってませんよ? BURNINGの2人は恋人同士じゃないですよ? ホントですよ?
……あとバカップルにはやっぱりツッコミ役が必要だと思いましたまる。
……眠れない。
夜、ぱちりと目を開けたあたしは、ひとつ溜息をついて、部屋の灯りをつけた。
時計を見れば、夜の11時。いつもならとっくに眠っている時間なんだけど。
眠くならないのは、昼間にフェイトの家で寝ちゃったから?
それもある。……けど、一番大きい理由は。
――まだ、こんなに胸がドキドキしてるからだ。
「すずか……」
名前を呟くだけで、今日あったことが次々と鮮明に浮かび上がる。
すずかからの、突然のキスと、告白。
『アリサちゃん……わたし、アリサちゃんが好き』
まっすぐに見つめる、深い深い眼差しと。
触れあった唇の柔らかさと。
抱きしめた身体の温かさと。
――そんなものがいっぺんに蘇って、あたしは恥ずかしさにベッドの上をごろごろ転がった。
自分が答えた言葉なんて、思い出すだけで顔が熱くなる。
「うーっ、なんてこと言わせるのよっ」
ぼすぼす。枕を叩いて、それからぎゅっと抱きしめた。
少し震えた肩は細くて。
ふわりと漂うシャンプーの香りが心地よくて。
キスは……ちょっと甘くてしょっぱい。
自分の唇に、そっと指で触れる。……結局、何回キスしたっけ。5回? ……6回かな。
柔らかくて温かな感触は、まだ唇に残っている。
「……ああああっもうっ」
奇声をあげて、あたしはまたベッドで転がる。……こんなところ、誰かに見られたら、確実に変な人扱いだ。
抱きしめた枕に、顔を押しつける。誰が見てるわけでもないのに、恥ずかしすぎる……。
――けど、そんなに悪い気分でもなかったりするのが、困るところ。
胸の奥が、じんわりあったかい。
こういうのを……幸せな気分、って言うのかな。
「すずか……好き」
ぼそっと呟いてみる。――あああもうっ、何言ってるんだろあたし。
こんなだから、眠れるはずなんてないのだ。
目を閉じればすずかの顔が浮かんで。すずかの声が浮かんで。
今すぐにでも抱きしめたくなる。キスしたくなる。
――あたしって、ひょっとしてキス魔?
「……否定できないかも」
自分に呆れて溜息ひとつ。……ふつう少女漫画でも、告白直後にあんなに何回もキスはしないわよね……。すずかも嫌がらなかったし、ってそれは責任転嫁か。
……というか最大の問題は。
今も、すずかに会って、抱きしめて、キスしたくてしょうがない自分がいることだ。
「……あの2人って、いつもこんななのかしら……」
親友のバカップルを思い出す。気がつけばいちゃいちゃべたべたしている、なのはとフェイトの2人。正式に恋人同士になったのは最近みたいだけど、聞いたときには何を今更って感じだった。
……しかし、こんな気持ちがデフォルトなら、ああいう風になる気持ちも解る。
解ってしまうあたしが変なのかもしれないけど……ううう。
すずかに会いたい。声が聞きたい。抱きしめて、キスがしたい。
――魔法が使えたら、すぐにすずかの家まで飛んでいけるのかな。
初めて、魔法使いになった親友を、ちょっと羨ましいと思ってしまった。
「……うーっ」
ぼふっ、とベッドにうつぶせる。やり場のないこの気分、どうしてくれようかしら……。
「…………今日、寝られるのかな、あたし」
うん、わりと自信がない。明日学校あるのに……。また居眠りしちゃうじゃないの。
……せめて、声だけでも聞けたらいいのに。
顔を上げて、あたしは携帯電話を手に取った。液晶に、すずかの番号を呼び出す。
でも――たぶん、すずかは寝てるわよね。
溜息ひとつ。こんなことですずかを起こすのも気が引けて、あたしは携帯電話を閉じ――
――着信音が鳴った。
目を見開く。そこに表示されていた名前は――「すずか」。
「……もしもし?」
夢でも見てるんだろうか。半信半疑のまま、あたしは通話ボタンを押して、
『あ……アリサちゃん。えっと、こんばんは』
夢じゃなかった。……聞こえてきたのは、確かにすずかの声。
「すずか?」
ああ、なに当たり前のことを聞き返してるんだろう。そうじゃなくって、もっとこう、ほら――
『あ、ご、ごめんね……起こしちゃった、かな』
「え? 別にそんなわけじゃなくて――大丈夫、起きてたから」
すまなそうな声に、慌てて答える。『良かった……』とほっとしたような声が聞こえた。
『こんな時間にごめんね……何だか、眠れなくて』
「……あたしも」
『そうなの?』
「うん。……ちょうど、すずかに電話しようかって、思ってたとこ」
『あ……ふふっ、一緒だね』
すずかの笑い声。それを聞いていると、何だかすっと心が落ちついてくるような気がした。
じんわり、胸の奥からあったかいものが広がってくる。……心地良い。
ぎゅっと枕を抱き寄せる。……何を話そうか。上手く言葉が出てこないのがもどかしい。
『……ね、アリサちゃん』
「ん?」
『えと……今日のことね、私の夢じゃ……ないよね?』
「……え?」
『その、何だか……まだちょっと、信じられなくて』
携帯の向こうから聞こえるのは、少し戸惑いの混じった声。
『あんなにいきなりだったのに……アリサちゃん、すぐその……答えてくれたから。アリサちゃん、今まで私のこと、そういう風に見てた感じも無かったのに……だから、その……アリサちゃん、ホントは、』
「はいストーップ、そこまで」
たどたどしいすずかの喋りが、どこに行き着こうとしてるのか察して、あたしはそれを遮った。
……まったく、もう。
「すずか、あたしってそんなに信用ない?」
『え!? べ、別にそんなつもりじゃ……』
溜息混じりにあたしが言うと、すずかは慌てたような声をあげる。
心配性、って言えばいいのかな。もうちょっと、自分に自信を持てばいいのに。
「確かに、あたしは今まですずかのこと、そういう風には見てなかったけど」
『……うん』
「でも、あのとき……すずかが好きって言ってくれたとき、あたしは嬉しかった」
携帯の向こうで、すずかが軽く息を飲んだ音。あたしはふっと笑って、言葉を続ける。
「キスされても嫌じゃなかった。……すずかのこと、可愛いって思った。これって、つまり……気付いてなかっただけで、あたしもすずかのことが好きだった、ってことでしょ? 違う?」
『……そ、そうなのかな』
「そうなの」
好きじゃなかったら、すずかのことを考えて眠れなくなったりなんてしない。
抱きしめたい、キスしたいなんて思わない。
そういうことでしょ?
「だから、夢でも何でもなくて、今、間違いなくあたしはすずかが好き。これは絶対。――信じられない?」
『……ううん、信じるよ、アリサちゃんのこと。……ありがとう』
すずかの言葉に、あたしは頷く。……電話越しだから見えないけどね。
でも、気持ちはちゃんと伝わってる。きっと。
言葉に乗って、電波に乗って、すずかのところに届いてる。
『大好きだよ、アリサちゃん』
「――っ」
耳元にいきなり直球がきて、急に顔が熱くなった。
やば……見えないって解ってても、この真っ赤な顔は……いろいろとまずい。
『アリサちゃん?』
「……あ、いや、その。いきなり、あんまり恥ずかしいこと言わないでよ」
あたしが言うと、不意にすずかはくすくすと笑い出した。
『ふふっ、アリサちゃん、さっきまで自分で、もっと恥ずかしいこと言ってたのに』
「え――ぅぁ」
だぁぁぁっ、思い出させないでよっ!
さっきまですずかに答えていた言葉が鮮明に蘇って、あたしは思わず抱いていた枕をベッドに叩きつけた。
あああ、何言ってたんだろうさっきまでの自分は。恥ずかしすぎる……。
「すずかっ!」
『は、はいっ!?』
七転八倒したい衝動をごまかすみたいに声をあげる。
「あたしにばっかり恥ずかしいこと言わせた罰として、すずかも何か言うっ」
『ええっ!? そ、そんな、いきなり言われても……』
困ったような声。……いやまぁ、別にそんな恥ずかしいことでなくてもいいんだけど。
それにいくつか、聞いてみたいこともあった。
「じゃあ、……いつ、なんで、あたしのこと好きになったの?」
そう、それだ。なのはとフェイトはまぁ、色々あったみたいだからいいとして。すずかはどうして……あたしをそういう風に見るようになったんだろう。
そもそも女の子同士だし……何か、きっかけでもあったんだろうか。そう思ったのだけど、
『え……? えと……なんでだろ?』
答えは、拍子抜けするような、そんな言葉。
「いや、あたしが聞いてるんだけど?」
『だって……よく解らないんだもん。その、恋してるんだって気付いたのは最近だけど……たぶん、もっと前から好きだった。気がついたら……好きになってたの』
……そんなものなのかな、やっぱり。
あんまりドラマチックな感じじゃないけど……でも、まぁ、それはそれで。
「てゆか、すずか。……男の人に興味無かったの?」
『……え、えと、よく解らない……かな』
「わかんないって」
『だって……初めて好きなったのが、アリサちゃんだもん』
――へ? 今、すずか、何て言った? 初恋が……あたし?
「……そうなの?」
『うん……たぶん』
それは、何ていうんだろう。光栄? ……違う気がする。
何だか、くすぐったい気分なのは、確かなんだけど。
『……アリサちゃんは?』
「あたし?」
――あたしの初恋? ……いや、そう言われても……
パパ? 士郎おじさま? 恭也さん? ……憧れたことはあるけど、今みたいな気持ちかっていうと……それは違う。
だとしたら……ええと、やっぱり、あたしも……
「……教えないっ」
『えーっ』
不満げな声をあげるすずかに、「ぜーったい教えないっ」と、半ば笑いながら返す。
そしたら、つられたようにすずかも笑い出して。
何がそんなに楽しいのかもよく解らないまま、2人で何だか大笑いしてしまった。
それからしばらく、他愛ない話を続けた。
何てことのない会話だったけど、一言ひとことが何だか、キラキラと輝いてるみたいで。
すずかの声を聞いているだけで、何だか幸せになれる。
魔法みたいな……優しい気持ち。
『……じゃあ、おやすみ、アリサちゃん』
「うん、おやすみ、すずか」
そうして、日付が変わる頃、いつもの挨拶とともに、電話は切れた。
1時間弱の会話は、長かったようで、短かったようで。
――けど、確かなのは。
あたしはベッドに倒れ込む。今はもう、眠れないようなドキドキじゃなくて……ぽかぽかあったかい、優しい気持ちが胸を満たしている。
自然、あくびが漏れた。……いい加減寝ないと、明日起きられなくなっちゃう。
柔らかいベッドの上で、あたしの意識はだんだんまどろみに沈んでいく。
……明日、すずかを迎えに行くとき、何て挨拶しよう。
いつもどおり、「おはよう、すずか」でいいのかな。
それとも……こっそりキスしちゃおうかな。
すずかは、どんな顔であたしを待ってくれてるかな。
明日から始まる、すずかとの毎日は……どれだけ、幸せなのかな。
ゆっくりと、ゆっくりと、静かな夜が更けていく。
新しい朝を始めるために、今は、おやすみなさい。
また明日――君の声を聞けるように。
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