そして二人は時を忘れる
2008.07.16 Wednesday | category:投稿&頂き物SS
お久しぶりのmattioさんの新作きましたよー! 今のRhythm Fiveに足りないものそれは(ry
私信:CRUSADERSが終わってもなのはから撤退はしませんのでご安心をばw 次の長編のネタも頭にありますゆえ。ひょっとしたらなのフェイになるのかも?かも? いずれにしてもクルセが終わってからの話でありますががが。
私信:CRUSADERSが終わってもなのはから撤退はしませんのでご安心をばw 次の長編のネタも頭にありますゆえ。ひょっとしたらなのフェイになるのかも?かも? いずれにしてもクルセが終わってからの話でありますががが。
「うぅ〜……またカレー……」
席に着くなり可愛い声で不満を漏らす、私の大切な人。
こうしてなのはを横から一日中眺める。そうして暮らせたら、なんて考えがよぎってしまう私は、すっかり心を奪われてしまっているのだろうか。
「なのははカレー嫌い?」
なのはの不満の原因は今日の献立。カレーライス。
前から薄々感づいてはいたけれど、時空管理局の台所ではどういう訳か、カレーが流行しているらしい。少なくともこの研修センターの食堂は毎日、お昼の献立が変わっていない。
つまり、この食堂を利用し続けている人は毎日がカレー三昧な訳で。ちょうど一週間前から研修でここを利用することになったなのはと私はまさに不運という訳で。
「そんなことないけど……もう一週間もお昼はこれだよ……? フェイトちゃんは平気?」
「うん。私は特に」
とりあえずカレーそのものは美味しい。価格も安いし、店員の手際も良い。だからお弁当を持ち込むとか、遠出して外食、と言い出すには至らなかった。少なくとも私はそう思っていた。
「はぁ……フェイトちゃんと意見が分かれちゃった」
「あぅっ!」
しまった。自分の『失言』に気づいたときにはもう、なのはががっくり肩を落としてうなだれていた。
「ごめん今のは気の迷いというか適当だったというかむしろ嘘だったというかそうやっぱりホントはなのはと一緒なんだっ」
「いいよもう、フェイトちゃんなんて」
今更必死で言い訳をまくし立てても、なのはの機嫌は戻ってくれるはずもなく。ぷいっと背を向けられて、背筋が凍りついた。
そもそも大切な人の辛い気持ちを知っていながら、ただのうのうと過ごしていたなんて。なのはを思いやれない私なんて、嫌いだ。
「あ……ぅ……」
俯くとショックの余り、余計なものが目尻から零れてしまいそうで、慌てて逆に上を向く。
こんなに気分が悪くなったことなんてあっただろうか。脇で香ばしい匂いを漂わすカレーですら、こんな私を馬鹿にしているように思えてしまう。……だって。
いいよ、もう。それはつまり、……つまり。
「にゃは。冗談だよ」
「へ?」
ふと目線を戻すといつの間にか、私の大好きな表情をしたなのはが上目遣いに覗き込んでいた。おかげでその言葉に続いて二度も心臓が跳ねてしまった。
「そんなことで拗ねたりしないよ」
「ほ、本当?」
「うんっ」
にっこり笑って、吸い付くように寄り添ってくる、なのは。
あぁ、なのははやっぱり優しい。この気持ちをなのはにそのまま表現できたら……未だにできない自分が恨めしい。今はこうしてそのもたれてくる頭を撫でることで精一杯。
「はぁ。けど本当に毎日同じもの食べるのは辛いかも」
なのはが小さくため息をついた。
ここ以外で昼食を取っていては午後の講義に間に合わないかもしれないし、かといってお弁当を毎日用意してくるというのもこの研修中限定で寮暮らしのなのはには厳しいだろう。加えてこの近くにはお店すらない。
「あ、そうだっ」
ぱん、となのはが唐突に手を叩いた。いいことを思いついたとばかり、得意気に笑って。
「えへへ」
「な、なのはっ?」
思わず声が裏返ってしまった。なのはがその笑顔で不意に覗き込んできたせいで。
「フェイトちゃん、食べさせて」
「へ?」
一瞬何を言われたのか、解らなかった。
というか、真っ先に浮かんだ情景は、……その、えと。な、なのはが、……私を……。
……なのはのせいだ。なのはの言い方が紛らわしかったから。だから……。
「わ、私がなのはにカレーを食べさせるってこと? ……どうして?」
「それなら絶対飽きないもん」
「……なのは」
なのはがえへんとばかりに胸を張る。何てことを思いつくのだろう、私の大切な人は。
「フェイトちゃんの分はわたしが食べさせてあげるね」
「…………」
本当に、何てことを思いつくのだろう。これは研修どころじゃなくなってきた、かも。下手をすると午後の講義に支障をきたすかもしれない。
……かといって、この提案を却下するという選択肢が私にあるはずもなく。
それもなのはが悪いんだ、ということにしておく。
「あ、一口食べさせるたびに何か言うってのはどうかな」
「……何か?」
「うん。わたしがどきどきしちゃうようなのがいいなぁ」
「…………」
「フェイトちゃんのセンスの見せ所だよ?」
センスも何も。好きと一言告げるのにもかなりの勇気を必要とする私にとって、大変な難題だ。安易に引き受けていいものか。カレーを食べさせ、しかもそこで告白して倒れたなんてことが周囲に知れたら、恥をかくのはなのはも一緒だ。
「ダメ? フェイトちゃん」
できる限りの呆れた様を装い、大きくため息をつく。そう、眉に精一杯力を込めて。
……でないと、自分の表情が本音のままにだらしないことになってしまいそうだから。
「なのはがどうしてもって言うなら、私は別に構わないけど?」
そう、そっけなく言った。下心なんて滲ませてなるものか。なのはには、格好いい私を見てもらいたいのだから。
「――えへへ」
なのはが意地悪な顔を向けてきた。
「な、何がおかしいの?」
「別に構わないんだ?」
「そ、そうだよ?」
「ほんとはすごーく嬉しいんじゃない?」
ゴクリ、思わず唾を飲んでしまった。なのはに気づかれてしまっただろうか。
「そ、そんなことないよ」
「じゃあ嬉しくないんだ?」
なのはが口を尖らせた。
あぁ、まずい。ここで提案を取り下げられては全てが台無しだ。
「あぅ……そ、そうでもない、けど」
またなのはがにんまり笑った。ころころ変わるこの表情にどきどきさせられっぱなしだ。
追い討ちをかけるようになのはが私の耳に顔を近づけてきて、動悸は激しさを増した。
「ほんとはどっち?」
「…………うれ、しい、です」
ついに押し隠していた本音がこぼれ出てしまった。
こんな情けない私なんて見て欲しくないのに。私の全部を見て欲しい、なんて言える日はまだまだ先になりそうだ。
と。落ち込む私の眼前に突きつけられたのは、カレーの乗った、スプーン。
ゆっくりその先をたどると、行き着いたのは満足げに微笑む天使、もとい、なのはの笑顔。
見惚れて呆けていたら、開いていた口にそのままカレーを押し込まれてしまった。
「にゃは。素直なフェイトちゃんが、一番好き」
……まったく、なのはは。これじゃあ味を堪能することもできない。
「――……」
返事をしようと口を開きかけて、止めた。食べさせる前にどきどきさせてしまってはルール違反だろう。
次は私の番。食べさせたら、言ってやるんだ。
そんななのはが一番好きだって。
Comment
甘いw
カレーなのに劇甘とはこれいかに!?
カレーなのに劇甘とはこれいかに!?
Posted by: |at: 2008/07/17 12:36 AM
この二人の前では、激辛カレーが激甘カレーになってしまう………
Posted by: ほわとと |at: 2008/07/17 7:36 AM
落語の「まんじゅうこわい」を思い出しますね…甘いです。甘過ぎです。
まったくmattio様の作品を読むと血糖値がロケット噴射で急上昇ですよ。
きっと二人の食事の時はブラックコーヒーが飛ぶように売れるんだろうなぁ…
ちとその風景を見てみたいぞ?どれだけの糖分なのか興味が…
まったくmattio様の作品を読むと血糖値がロケット噴射で急上昇ですよ。
きっと二人の食事の時はブラックコーヒーが飛ぶように売れるんだろうなぁ…
ちとその風景を見てみたいぞ?どれだけの糖分なのか興味が…
Posted by: LNF |at: 2008/07/18 1:34 AM
>12:36コメントの方
イベント用作品は常にもっと甘くなるよう努めてますw
今の私の環境がこんな感じなので(毎日カレーは辛いです……)カレーをチョイスしたのですが今思えば別にカレーでなくても良かったですね(笑)。
>ほわととさん
激甘カレー……あまり食べたくないですね(汗)。LNFさんも仰ってる通り、二人のいる場所で物を食すにはド苦い物で相殺する必要があるでしょうね(笑)。
>LNFさん
LNFさんは物知りでいらっしゃる(笑)一つ勉強させていただきました。
ウチのバカップル生で目の当たりにしたらキレそうだと某氏に評されてるのですけどー(笑)。
ウチのなのは「ちゃん」はフェイトをどきどきさせることに何の自重も遠慮もないので観賞にはお気をつけください(ry
イベント用作品は常にもっと甘くなるよう努めてますw
今の私の環境がこんな感じなので(毎日カレーは辛いです……)カレーをチョイスしたのですが今思えば別にカレーでなくても良かったですね(笑)。
>ほわととさん
激甘カレー……あまり食べたくないですね(汗)。LNFさんも仰ってる通り、二人のいる場所で物を食すにはド苦い物で相殺する必要があるでしょうね(笑)。
>LNFさん
LNFさんは物知りでいらっしゃる(笑)一つ勉強させていただきました。
ウチのバカップル生で目の当たりにしたらキレそうだと某氏に評されてるのですけどー(笑)。
ウチのなのは「ちゃん」はフェイトをどきどきさせることに何の自重も遠慮もないので観賞にはお気をつけください(ry
Posted by: mattio |at: 2008/07/20 9:50 AM
甘いのにあちい〜
読む時期間違えたかも
甘口カレー、一応カレーなのに甘い味しかしなさそうだw
読む時期間違えたかも
甘口カレー、一応カレーなのに甘い味しかしなさそうだw
Posted by: コウ |at: 2008/07/22 1:05 PM
>コウさん
作者は甘いとアツいの区分けもできない未熟者なのでご容赦ください(笑)。
リンディ茶なんかもお茶なのに甘い味しかしないんでしょうねぇ……。
作者は甘いとアツいの区分けもできない未熟者なのでご容赦ください(笑)。
リンディ茶なんかもお茶なのに甘い味しかしないんでしょうねぇ……。
Posted by: mattio |at: 2008/07/23 11:41 PM
甘いです。だけどそれがいい。
・・・甘いのは大好きです。コーヒーにリンディ茶並みに砂糖を入れるぐらいですから。糖尿にならなければいいのですがね。
・・・甘いのは大好きです。コーヒーにリンディ茶並みに砂糖を入れるぐらいですから。糖尿にならなければいいのですがね。
Posted by: ユキト |at: 2008/07/25 11:49 PM
>ユキトさん
このCPは甘い作品多めですよねー……多分。
なのフェイスキーさんは皆糖尿になっちゃえばいいと思うよ!(おい
というわけでこれからもバカップル投稿させていただく予定ですのでそちらもよろしくお願いしますー。
このCPは甘い作品多めですよねー……多分。
なのフェイスキーさんは皆糖尿になっちゃえばいいと思うよ!(おい
というわけでこれからもバカップル投稿させていただく予定ですのでそちらもよろしくお願いしますー。
Posted by: mattio |at: 2008/07/26 2:35 PM
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