木の葉が紅く染まる頃(3)
2007.09.16 Sunday | category:投稿&頂き物SS
> リクで合同誌のBeforeストーリーとかを見てみたいとか言われたので今回こうして書いてみました。
> アフターの方が俄然楽だと思いましたorz
> 設定が厳しかったですorz
というわけで、mattioさんよりシリーズ最終話が届きましたよー!
> アフターの方が俄然楽だと思いましたorz
> 設定が厳しかったですorz
というわけで、mattioさんよりシリーズ最終話が届きましたよー!
なのはには、誰よりも幸せになってほしいから――
「おやすみ」を言って、ベッドに横になってから頭の中で何回繰り返しただろう。あのやり取り。
羊を数える代わりにずっと、今日の午後の――――時計を確認する。あぁ、もう朝だった。『昨日の』午後にあったことを何度も何度も、巻き戻しては再生を繰り返していたみたいだ。
昨日――色んなことがあり過ぎて、頭の中がごちゃごちゃになってる。整理出来てない。する余裕がない。
今やフェイトちゃんと目を合わせることさえ難しくなってしまった。『あれ』からずっと、目が合うとつい逸らしてしまう。ベッドに横になるまでずっと、話しかけられる度とっさにどうでもいい話ばかり振ってごまかして――その繰り返し。何してるんだろう、わたし。
眠りについたらついたで――繰り返されるんだ。夢の中でも、あのやり取りが。しかも夢の中では実際あった場面と微妙に違ってた。どこが違うか。わたしとフェイトちゃんの、格好。
どうしてそんな格好してるの? 生み出してるのは、わたしの頭だけど。気のせいか、魔力光みたいなキラキラしたものまでフェイトちゃんから出てたような。
「…………おうじ、さま」
ポツリ、言ってしまってからハッと口に出してしまったことに気づく。慌てて辺りを見渡して、気恥ずかしくて、枕に顔をうずめて『いやいや』。
その強烈に脳裏に刻み込まれてしまった『王子さま』はどうにも消え去ってくれなかったけれど。
苦しくて。熱くて。何もしてないはずなのに息が、荒くなってる。体調が悪いわけじゃない。
……これは、やっぱり。
もしかして。
ひょっとして。
そんな、まさか。
でも、じゃあさっきから見てる夢は?
…………。
――も、もう、起きようかな。かなり、早いけど。
体を起こして、みんなを見渡して――……気づいた。
フェイトちゃんが、いない。
もう起きてるのかな。……ここには、いないみたい。外かな。
……迷う。このまま起きて、フェイトちゃんと会うか……それとももうひと眠りしてみんなと一緒に起きるか。枕を抱いたまま時折唸り、悩み続ける。このままみんなが起きてくれたら、なんて思ったりもする。
「なのは」
「っアリサ、ちゃん」
後ろへ振り向く。さっきまで寝息を立ててたはずのアリサちゃんが、横になったままわたしを見ていた。
「あ……ごめんね、起こしちゃった?」
アリサちゃんが首を横に振る。
「フェイトを、探しに行くの?」
「……うん」
決めてないのに、つい宣言してしまった。そうしなければ、いけない気がしたから。
――そうだ、アリサちゃん。アリサちゃんなら、いいかもしれない。話してみても、いいかもしれない。
「アリサちゃん」
「何、なのは」
「あ、あのね……」
「……ふーん」
……な、何だろ。わたし、おかしなこと言ってたかな。持ち得る限りの勇気で全部喋ったつもりなのに。
アリサちゃんが、じーっと見てる。
額から汗がだらだら。元からの暑さと相まって、気恥ずかしさが体の熱を更に押し上げている。
「……ふ、ふふっ」
「アリサ、ちゃん?」
と、思ったら今度は笑い出した。もう、何がなんだか、さっぱり。
「ごめん。ちょっと、嬉しいような……くすぐったいような……とにかく、ごめん」
「……」
複雑。
「なのはだってもう中二だしね。来年は十四歳だし……むしろ、遅かった方かな」
「……」
「けどなのはにしては、上出来。むしろ満点」
「うぅ……」
わ、わたしって、一体……。
褒められてるのにばかにされてるようで、ホントに複雑。
それは、ともかく。今は――
「ど、どうしたら、いいかな」
「どうって、なのはがどうしたいか、によるでしょ。Yesか、Noか」
「い、今決めなきゃ、ダメ?」
「ん? ……そうね、今決められるならそうするに越したことはないでしょうけど。……」
黙って、アリサちゃんの言葉を待つ。アリサちゃんの言葉は、どんな人からの助言よりも信じられる――親友、だから。
「早まって後で悔やむのだけは、よしなさい。……あたしのアドバイスは、それだけ」
言いきった、といった感じでアリサちゃんが目を閉じた。
「アリサちゃんの場合は、迷った?」
すずかちゃんとの、こと。
「……少しね」
「少し?」
アリサちゃんがごろんと仰向けになって、ふう、と一息。
「でもないかも。あたしのことは別にいいけど、すずかのことを考えると、いろい――」
「アリサ、ちゃん?」
「…………」
アリサちゃんが、急に黙り込んでしまった。どうしたんだろ。天井の方をじっとにらんだまま。……ちょっと、顔、赤い気が……
「……もういいでしょ。早く探しに行きなさいっての」
片手をあげてしっしっと、わたしにもう行くようにと促してきた。
うなずいてわたしはその場に立ち上がる。外へ出て行こうとして、ふとアリサちゃんに向き直る。
「アリサちゃん。……あ、あのね」
「何?」
「……ありがと」
「……ん」
アリサちゃんが目を閉じて、あげた手をひらひら。わたしもアリサちゃんに手を振る。
「じゃあ、ちょっと、行ってくるね」
「うん――あ、なのはっ」
「ふぇ?」
呼ばれてもう一度振り向く。アリサちゃんが肩肘をついて体を起こしながら、こっちを見てた。
「あたしは、後悔してないから。……いっぱい悩んだけど、だから、後悔してない」
「…………うん」
なんて説得力のある目だろう。本当に、本当に悩んだ人にしか出来ない、真剣で、熱い瞳。
なんだか、誇らしくなった。
「頑張って」
たったそれだけの、短い言葉。なのに――ちょっぴり、ぐっときちゃった。
「うん。ありがと……アリサちゃん」
*
「……で? いつまで寝てるふりし続ける気?」
「フェイトちゃんを愛してた。コテージを出るなり、わたしは全力で駆け出す。一秒でも早く、会いたくて。伝えたい、そして添い遂げたい。愛しい、愛しい、あの人と――」
「……なにアフレコしてるの」
「あはは。みんな起きてたんだね」
「あぁ、あたしもすずかとラブコメしたいなぁ。あたしはむしろディープなのも全然オッぐ――ッ!!」
「は、はやてえッ!!」
「寝てしまえ。出来れば永遠に」
「もぉ、アリサちゃん。やっぱり心配してたんじゃない、二人のこと」
「う……そ、それは……」
「でも、わたしのことまで心配してくれてたんだね。嬉しかったな、すごく」
「……」
「わたしも、後悔してないよ。……そんな、アリサちゃんだから」
「そ、そう……」
「すずか大歓迎なあたしは迷うどころか準備万端だけど、大切なすずぅ――ッ!!」
「は、はやてえッ!!」
「この万年発情期。ぐりぐりが足りなかったかしら」
「もう結構です、お嬢さまー。もう陽も出て来とるし、朝ごはん作って待っといたろ?」
「うん、手伝うよ。はやてちゃん」
「はやて、あたしも手伝うっ」
「仕方ないわね」
*
サク、サク、サク……。伸びた草たちが歩くたびにサンダルから出た素足をつつく。くすぐったい。
「……はぁ」
めったにつかないため息をついて、わたしは歩みを止めた。
夜明けの風に流された落ち葉が、目の前に落ちてくる……。
はらり。はらり……。
目を、閉じる。
ユーノ君。アリサちゃん。すずかちゃん。はやてちゃん。……
――みんなの顔を浮かべようとしても、出てきてくれない。
代わりに次から次へと浮かんできたのは、ただ一人のさまざまな表情と、思い出。
小さかった頃の、その人の笑った顔。その笑顔が見たいがために、奔走した日々。
『始まり』に戸惑う顔。それを喜ぶ顔に変えるために、一生懸命だった日々。
『好き』、だった。
きっとわたしは『好き』だった。あの頃からこれまで、ずっと、ずーっと。
思い出たちが揺らいで、次に浮かび上がったのは、現在のフェイトちゃんの、あどけない笑顔。
さらにアリサちゃんと話してみてはっきり……自覚した。自覚、しちゃった。
何より鮮明に夢に出てきた映像こそが、言い逃れようのない確信。
目をゆっくりと、開ける。
――なんてわたしは幼稚なんだろ。考えることが、きっと古い。
夢とはいえフェイトちゃんと……おまけに自分にまで、あんなベタな格好させるなんて。
「…………ふぅ」
めったにつかないため息を再びついて、わたしは歩き出した。
……秋風が、涼しい。けどやっぱり、心は冷やしてくれないみたい。
歩きながらもみじの木々を見つめる。何となく、自分の胸に手を当てて、ふと思う。
いつか、来るのかな。わたしのもみじが、落ちるとき。
落ちてほしいのか、落ちないでほしいのか、自分でもよく解らない。
だって色々と普通じゃないんだもの、……それでも。
何をどうしたいのか、解らない……だけど。
確かめたい。いつか、きっと――
太陽が山の輪郭から姿をはっきりと現してきて、夜が本格的に明け始めた。
そして――――いた。遠いけど、見つけた。その後ろ姿。
川のほとりに一輪だけタンポポが咲いているみたいに、その黄金色の髪が映える。
その黄金を見ただけで、たちまち体中に異変が起きる。
カァーッと沸き上がる、血潮。キュンキュンする、胸。
一歩。また一歩。
何を話せばいいのか決まってないのに、両足はそんなわたしの迷う気持ちを無視して、目的地へと歩み続ける。
――いつもどおりのトーンで声を発しただけで聞き取れそうな距離まで近づいたところで、音を立てずに歩み寄る。
フェイトちゃんの背中まであと、二歩、ほど。フェイトちゃんに気づいた様子はない。ずっと川の方を向いたまま、静止し続けている。
何て、声かけよう。何を話そう。
……解らない。解らないから、
「だっ、だ〜れだっ?」
「…………」
目隠し、してみた。
…………反応、なし。
フェイトちゃん、まさか、立ったまま寝たりしてないよね? そ、それはそれで、可愛いんだけど。驚くとか、怒るとか、うぅ……何か言ってくれないと、辛い……
「……口づけなしで起きてきた、お姫さまかな?」
その滑らかな声に、うっかりポーっとしてしまった。そして直後、心臓がはねた。一瞬、見透かされてしまった気がしたから。夢の内容を。あの格好を。
「どんな夢、見てたの? すごく幸せそうな顔してたよ?」
まさか夢に出てきた張本人に夢のことを話すわけにもいかない。先にふざけたのは自分だけど、こんな感じに返されるとは完全に想定外。
「えと……うぅ……そ、そんなに?」
「うん。なんだか妬けちゃうくらい、素敵な寝顔だった」
な、なんて返事していいのか、解らなくなっちゃった。
いたずらしてるわたしの方が慌ててるって、おかしい、ような……。
あ! そ、そういえば、わたしの寝顔、見られちゃったんだっ! ……わ、わわわわっ!
寝顔なんて昔から見られてるはずだけど、今は、なんかやだっ。なんだか、やだっ!
「ふふ。ずいぶん早起きだね、なのは」
――名前を呼んでもらえて、不思議なくらいほっとした。
目隠ししてた手を下ろし、そのまま後ろから両腕をその腰に回してぎゅっと抱きしめる。けどフェイトちゃんはこれでも驚いた様子を見せない。
「にゃは……フェイトちゃんの方が、早起きしてるじゃない」
その背中に、その長い髪におでこをこすり付けた。艶のある髪。心がスーッと洗われるような香りがする。
こうすることでこの迷う気持ちごと全部、フェイトちゃんに伝わってくれたらいいのに。
「……うん」
どうして、わたしがここにいることに驚かないんだろ。早起きって言っても、早過ぎるよ? あまりにも。
「……驚かない、ね。フェイトちゃん」
「うん……どうしてかな」
――川の水の音だけが聞こえる。静かで、時間の流れを遅く感じる。わたしの鼓動はそれとは比較にならないくらい、早いのだけど。
「川を見てたら、昨日見たなのはの瞳を思い出して……何となくなのはがここに来るような気がしてたから、かな」
ドクン、と心臓がより激しく揺り動いた。
「『あれ』からずっとなのはが目を合わせてくれなくて、寂しくてここに来ちゃったのかも」
フェイトちゃんが冗談めいた響きを交えて、だけどわたしの心にはグッサリと言葉の矢が突きたてられた気分。
「けどやっぱり、なのはの瞳の代わりにはなってくれなかったよ……」
フェイトちゃんが疲れたような声で、寂しげに呟いた。
「…………ぁ」
おどけてみせれば良かったのか、喜んでみせれば良かったのか、迷ってるうちに返事をするタイミングをとっくに逃してしまっていたことに気づく。
絡めていた両腕をゆっくりと解いた。というか、解けてしまった。
フェイトちゃんがわたしに振り向く。
反射的に、目線を下に落としてしまった。すごくひどいことしてるって、解ってはいたけれど。
「おはよう、なのは」
いつもどおりの、何度も聞いている言葉が返ってきた。だから、
「……おはよ、フェイトちゃん」
何度もかけている、いつもどおりの言葉を返す。
…………無言。けど気まずいわけじゃない。
この言い知れない沈黙に隠された、何かに気づく。
きっとフェイトちゃんも、わたしを待ってる。わたしが答えを出すまで、待っててくれるつもりなんだ。
フェイトちゃんは、優しい人だから。
だから、何も、言わないんだ――
「……フェイトちゃん」
おそるおそる、上目遣いにフェイトちゃんを見る。フェイトちゃんは、予想通りの微笑。
「うん?」
早まって後で悔やむのだけは、よしなさい。
――時間がほしい。
だって、あまりに急――わたしだけかもしれないけど――だし、昨日の今日で全てを弾き出せって言われて――誰も言ってないけど――決められるようなことじゃない。
さっきのアリサちゃんの様子を見て、思い知らされた。
流されて決めちゃいけない。軽々と決めちゃ、いけない。何より、わたしとフェイトちゃんのことだから。
もう少しだけ、確かめる時間がほしい。全てを見極める時間がほしい。だから――
「もう少し、だけ、一緒にいてもらっても、いいかな?」
まっててもらっても、いいかな――
途切れ途切れに、震える声でどうにか『返事』を返した。
――フェイトちゃんが、ちょっとだけ驚いたような顔をした。けどそれも数秒。
そして、ふっと笑った。この上ないほど優しく、柔らかく。
「なのはが迷惑でなければ、いつだって、こんな風に隣にいるよ。これまでも、これからも」
フェイトちゃんの右手が、わたしの顔に伸びてくる。
わたしの唇に触れ――る寸前で、止まった。その手がわたしのサイドポニーに移り、髪を梳く。
「――――待ってるから」
その声は小さく、けどわたしの耳にはしっかり聞きとれた。その澄んだ声を聞き取れないはずがない。
「…………あり、がと」
優しさが、心にしみる。思いやりを噛みしめて、目を閉じ唇をへの字にする。
きっといつか向き合うから。
きっといつか応えるから。
きっといつか、伝えるから。
――だから。とりあえず、今は。しっかり目を開けて、
「なのは」
勇気を振り絞って、その手をつないで、
「…………ん」
まっすぐその目を見つめ返すことから、始める。
「――なのはが心配する必要なんて、ないと思うよ」
「ふぇ?」
フェイトちゃんが目を細めて、再び微笑んだ。
「ますます、離れたくなくなったから。……改めて、その目を見たら」
「にゃ……」
うぅ……まっすぐ目を見るって決めたばかりなのに、もう気恥ずかしくなってきた。
「なのはにも、言ってもらいたいな。……ううん、言わせてみせる」
わたしの後ろから照りつける太陽が、フェイトちゃんの全身を明るく照らしている。その深紅の瞳が太陽と共鳴しているかのように明々とより綺麗に、より輝いて見えた。
そして、いつの頃からかつながなくなった、この手。わたしより白くて、柔らかい、手。
もう子供じゃないからと、実は無意識に避けていたのかもしれない。
黙殺していたのかもしれない。
だけど、今は、違う。
――と、フェイトちゃんがその視線を握っている手に向けた。
「なのはは瞳だけじゃなくて、手にも春を持ってる気がする。……あったかい、な」
――あぁ、ずるい。ずるい、ずるいずるい! ずるい!!
どうしてこういう台詞を言えてしまうのか。
何より、この顔が憎い。ほっぺを真っ赤にしながら言うから、照れ笑いしながら言うから、いけない。
もぉ憎さあまって、かっこよさ万倍だっ! …………あれ? 違ったかな。
「――も、ももっもう、帰ろう? フェイトちゃんっ」
これ以上は耐えられそうもないから。はっきりと決断する前に陥落してしまいそうだ。わたしの心が。
「うん」
そして、歩き出した。隣同士で歩くのが照れくさくて、ついずんずん先を急いでしまう。なのにフェイトちゃんはただきょとんとして、わたしに引っ張られるようにゆっくり歩こうとしてる。
フェイトちゃんがなかなかついてきてくれないから、振り向き振り向き、歩く。今のわたしは、まるでカニ。
この微妙な距離感が、ますます恥ずかしい。けど隣で歩くのは、もっと、無理。やっぱり、無理っ!
勝手な、思い込みかもしれないけど。足取りは付き合いだしたばかりのカップルみたいに、目も当てられないほどたどたどしい。だけどつないだ手は、本当のカップルみたいに、力強い。
「なのは」
「ひゃっ」
ぐいっと体を引っ張られた。
フェイトちゃんの顔を見て、その視線の向けられてる方を向いて、……でっかい石を発見。
「そんな風に歩いてると危ないよ。……気をつけて」
「……ぅん。ありがと」
いいのかな。
いいのかな。
こんなに、軽々と抱き寄せられたり、しちゃって……。
なんだか、昨日橋の上で抱き寄せられたときと感覚が似てて、戸惑う。
――フェイトちゃんが、くすっと笑った。
「ど、どうかした? フェイトちゃん」
フェイトちゃんが風に舞う葉を掴んで、わたしに笑いかけてきた。
「なのはのほっぺ、もみじみたいだ。…………」
フェイトちゃんが、急に切ないような顔をした。不覚にも、見とれてしまった。
「なのは」
「ふぇ? ――あ」
背中をぐっと押されて、抱きしめられて、しまった。
わたしの背中に回された腕に力がこもるのが解った。昨日の昼のときよりも密着してて、昨日の午後のときよりも想いを感じる、抱擁。ほっぺとほっぺがこすれて、フェイトちゃんの息がわたしの首すじにかかる。
お互いにもたれるように、その頭に自分の頭をあずける。首すじを、柔らかい何かになぞられてちょっとだけ体を強張らせてしまった。
フェイトちゃんの――鼓動を感じる。
「無理しなくて、いいんだからね」
そう言うフェイトちゃんに、コツン、とおでこを目の前のおでこにくっつけた。
目を丸くしたフェイトちゃんを、その綺麗なまん丸を覗き込む。透けるような赤に映る自分の顔は、緊張がありありと見て取れる。
うん、大丈夫だ。どきどきはするけど、ちゃんと見れる。
「無理なんて、してないもん。昨日、言ったでしょっ?」
昨日と今日では意味合いが全く違ってたけど。
「――――うん」
その首に腕を回そうか、迷ってるうちに体をゆっくりと離された。その顔を見上げる。
普段見慣れた、凛々しい顔があった。ただいつもと明らかに違うのは、
「……フェイトちゃん、こそ。ほっぺ、もみじだ……」
フェイトちゃんが虚をつかれたような顔をして、そして――……。
――はやてちゃんてば、何のためにビデオカメラ持ってきたの?
ここを撮っておいてほしかった。……わたしの目と心は、しっかりと焼き付けたけど。
とろけてしまいそうなほどあどけなく微笑んだ、王子さまの笑顔を。
――この気持ちはきっと、言葉にするから――
to「なのフェイSS2」...
Comment
えと、以前から見てたんですけど、始めてレスします。
なのはさん、自覚したようで何よりです。アリサも、アテレコの師匠も言い味出してます。後は言葉に出来る日を待つだけですね。早くしろ、ってじれったい気持ちになりますが、それはファンの問題で当人達が決めることじゃありませんから。
多分、フェイトさんも気付いたと思いますから今は告白待ちでしょうし。
それと・・・ずっと気になってたことあるんですけど、他の八神家のみなさんは予定揃わなかったんですか??
・・・結局ヴィータはあの後はやてさんとの散歩で何かあったんですか?そこが気になってしまいます。
なのはさん、自覚したようで何よりです。アリサも、アテレコの師匠も言い味出してます。後は言葉に出来る日を待つだけですね。早くしろ、ってじれったい気持ちになりますが、それはファンの問題で当人達が決めることじゃありませんから。
多分、フェイトさんも気付いたと思いますから今は告白待ちでしょうし。
それと・・・ずっと気になってたことあるんですけど、他の八神家のみなさんは予定揃わなかったんですか??
・・・結局ヴィータはあの後はやてさんとの散歩で何かあったんですか?そこが気になってしまいます。
Posted by: マルダユキ |at: 2007/09/16 11:02 PM
もぉ憎さあまって、かっこよさ万倍だっ!
ってのが面白かった、惚れてるなのはにとってはそれほどカッコイイのか!?
ってのが面白かった、惚れてるなのはにとってはそれほどカッコイイのか!?
Posted by: ブラスト |at: 2007/09/17 11:17 AM
はー、甘い!
>まっててもらって――いいかな?
>待ってるから―
完璧な『返事』ではないけど、でもそれを受け入れて、いつか必ず、『返して』くれるのを待つ・・・。
なのフェイはもう本当に甘いですよねー。
ところで、ヴィータとはやてはなにかあったのでしょうか?
>まっててもらって――いいかな?
>待ってるから―
完璧な『返事』ではないけど、でもそれを受け入れて、いつか必ず、『返して』くれるのを待つ・・・。
なのフェイはもう本当に甘いですよねー。
ところで、ヴィータとはやてはなにかあったのでしょうか?
Posted by: 吉 |at: 2007/09/18 2:47 PM
バカップル達に脳がやられた(笑)。
シリアスだけど、どこか甘い。
将来はいい夫婦になること間違い無しです。
シリアスだけど、どこか甘い。
将来はいい夫婦になること間違い無しです。
Posted by: ユリかもめ |at: 2007/09/18 4:23 PM
なのフェイにふれる前に。
LEO的にはやっぱり突っ込んでおきたい。
はやてさん、貴女はマゾなのですかw
アリサの凄まじいツッコミにもめげずにボケ倒すあなたの姿には、感動を通り越して敬意を表するw
やっぱり堪らんですヨ、このコンビww
で、主役のふたりですが。
フェイト王子がテラカッコヨスw
心配してないなんて余裕さえ見せるアナタに、そりゃなのはさんもメロメロ(死語?)ってなもんです。
ここから合同誌の話に繋がるんですね。
この話を踏まえてから読み直すと、また違った楽しみ方が出来そうですねw
LEO的にはやっぱり突っ込んでおきたい。
はやてさん、貴女はマゾなのですかw
アリサの凄まじいツッコミにもめげずにボケ倒すあなたの姿には、感動を通り越して敬意を表するw
やっぱり堪らんですヨ、このコンビww
で、主役のふたりですが。
フェイト王子がテラカッコヨスw
心配してないなんて余裕さえ見せるアナタに、そりゃなのはさんもメロメロ(死語?)ってなもんです。
ここから合同誌の話に繋がるんですね。
この話を踏まえてから読み直すと、また違った楽しみ方が出来そうですねw
Posted by: LEO |at: 2007/09/18 11:20 PM
友人にリクをねだった結果、色々あってこれを書くことになりましたmattioですorz
コメントありがとうございますー。
>マルダユキさん
初レスありがとうございますーw
今回はお年頃のなのはさんがフェイトさんに気持ちが芽生えて戸惑いながらも受け入れる様子を稚拙ながら書いてみました。
きっとここまで話進めといてそこで終わりか、と思われた方もいるかと……ごめんなさい、後はあの本で(ry
八神家の皆様は主の仲良し友達同士のお出かけということで遠慮なさったのではないでしょうか、ヴィータはまあ特別、ということで(笑
>あの後〜
やっぱり言わなきゃまずいですかー?w
>ブラストさん
ええ、何せ王子の体からラメが飛んでるのが見えてしまうほどですから。
今のなのはさんにはフェイトさんが通常の5割増で見えてます。
極度の乙女症ですね(ヲイ
>吉さん
おー、甘いと言って頂けてほっと一安心です(笑
私いつも自分の作品に関しては甘いとかほのぼのとか自覚なしに書いてますので。
2話であそこまで行っといてこういう終わり方ということで申し訳ない気持ちで一杯ですが、私としてはとても良い経験になったと思ってます。
>ヴィータとはやて〜
それは私の口からはちょっと言うのがはばかられるようn(ry
>ユリかもめさん
書きたいと思ったシチュを詰め込みまくったらこんなのになってしまいました……。
今回のは完全なハッピーエンドにはせずに(というか出来ないのですが)いかに甘くして、明るくして終えるか、と言うことでかなり試行錯誤しました。
>将来はいい夫婦
そうですね、すでに19歳の二人はその片鱗を見せ付けてくれてますしね!w
>LEOさん
師匠はお笑いの基本である『3発』を実行してるのですよ、体当たりで。
私の中での互いの関係はなのはとフェイトが『特別な人』、アリサとはやてが『悪友』、なのはとアリサの関係がまさにその対極の『親友』なんです。
お互いフェイトとすずかがいるということで他の人には打ち明けられない悩みとかも真面目に語り合ってるイメージがあるのですよね。
王子に関してはすみません。気を抜くとすぐこういう人になってしまうんですorz 設定としては一応アレの半年前と言うことで(ry
コメントありがとうございますー。
>マルダユキさん
初レスありがとうございますーw
今回はお年頃のなのはさんがフェイトさんに気持ちが芽生えて戸惑いながらも受け入れる様子を稚拙ながら書いてみました。
きっとここまで話進めといてそこで終わりか、と思われた方もいるかと……ごめんなさい、後はあの本で(ry
八神家の皆様は主の仲良し友達同士のお出かけということで遠慮なさったのではないでしょうか、ヴィータはまあ特別、ということで(笑
>あの後〜
やっぱり言わなきゃまずいですかー?w
>ブラストさん
ええ、何せ王子の体からラメが飛んでるのが見えてしまうほどですから。
今のなのはさんにはフェイトさんが通常の5割増で見えてます。
極度の乙女症ですね(ヲイ
>吉さん
おー、甘いと言って頂けてほっと一安心です(笑
私いつも自分の作品に関しては甘いとかほのぼのとか自覚なしに書いてますので。
2話であそこまで行っといてこういう終わり方ということで申し訳ない気持ちで一杯ですが、私としてはとても良い経験になったと思ってます。
>ヴィータとはやて〜
それは私の口からはちょっと言うのがはばかられるようn(ry
>ユリかもめさん
書きたいと思ったシチュを詰め込みまくったらこんなのになってしまいました……。
今回のは完全なハッピーエンドにはせずに(というか出来ないのですが)いかに甘くして、明るくして終えるか、と言うことでかなり試行錯誤しました。
>将来はいい夫婦
そうですね、すでに19歳の二人はその片鱗を見せ付けてくれてますしね!w
>LEOさん
師匠はお笑いの基本である『3発』を実行してるのですよ、体当たりで。
私の中での互いの関係はなのはとフェイトが『特別な人』、アリサとはやてが『悪友』、なのはとアリサの関係がまさにその対極の『親友』なんです。
お互いフェイトとすずかがいるということで他の人には打ち明けられない悩みとかも真面目に語り合ってるイメージがあるのですよね。
王子に関してはすみません。気を抜くとすぐこういう人になってしまうんですorz 設定としては一応アレの半年前と言うことで(ry
Posted by: mattio |at: 2007/09/19 7:13 PM
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