「恋する乙女は無敵です」という名言の信憑性を考察するに当たっての参考事例、略してコイメツ
2007.05.29 Tuesday | category:投稿&頂き物SS
交差幻想のHALさんより、ウチ時系列によるフェイトさんのバースデイに凄いなのフェイSSが届きましたよ……! 予想の斜め上を全力全開で突き抜ける展開をどうぞお楽しみくださいませw
高町なのは。海鳴市藤見町在住の10歳。喫茶「翠屋」の末娘。私立聖祥大学付属小学校四年生。時空管理局民間協力魔導師。
――――そして、恋する乙女である。
「恋する乙女は無敵です」という名言の信憑性を考察するに当たっての参考事例、
略してコイメツ
高町なのはという少女はAAAランクの砲撃魔導師であり、AAAランクといえば管理局全体の魔導師数を見ても5%以下しか居ない大変稀少な存在であり、AAAランクの本気は街一つを消し飛ばすと言われており、一言で言えば彼女はとんでもなく強い子なのだった。軍事的な意味で。
そもそもがこの第97管理外世界において魔法などというものは空想の産物に過ぎず、実在するとは思われていない。そういう意味でも彼女は特別であり、その才能は活用次第でこの世界の社会構造を揺るがすことすら可能だろう。
が、しかし。魔力資質を持つ者自体がほとんどいないこの世界において、魔法とはやっぱり空想の産物に過ぎず、存在を信じられていないものは存在しないのと同じことなわけであり、魔法使いと名乗ったところで軽蔑こそあれ敬意など払われるわけもなく、そして高町なのははどれだけ強くても社会的には10歳の少女に過ぎず、義務教育真っ只中なのだった。
「………………ぅぅ〜」
加えて言うなら今日は金曜日であり、空模様は快晴であり、太陽は空の中心から少し外れた位置に輝き、つまり午後二時は絶賛授業中である。陽の射す教室にはチョークが黒板を走る音が響き、生徒は教師の言葉に素直に耳を傾ける。さすがは名門私立というべきか教師の解説は丁寧であり、生徒はそれについていこうと目は黒板に向き、手は生真面目にノートを取っている。
――約三名の例外を除いて。
高町なのははなんだか妙に落ち着きが無かった。本人としては真面目に授業を受ける気らしい。らしいのだが、目はそわそわと揺れ動き、時折はっと気付いたように教師と黒板の方へ戻り、しばらくするとまたふらふらと泳ぎ始める。意志が抜け落ちた手はそれでもなんとか耳に入った解説を書き留めようとするのだが、『視線』と書くべきところで『死線』になっているあたり絶望的と言わざるを得ない。ツインテールはぱたぱたと揺れ動き主の心中を表現する。まさに心此処に在らず、を体現していた。ちなみに科目が彼女の苦手とするところの国語だったのは、ある意味でトドメだった。
アリサ・バニングスはそんな親友の姿を斜め後ろの席から眺めていた。微妙に眉間に皺が寄っていた。無意識なのか、右手指先は苛立たしげにトントンと机にリズムを刻み、左手は頬杖に使っている。当然のようにノートは取っていない。というかページを遡ってもノートには親友たちの肖像くらいしか描かれていない。一見誰より不真面目そうだが、これは単に彼女の頭脳がもはやこの授業で満点を取るのにノートを必要としないだけのことだった。
そしてアリサのノートを埋める絵の肖像権の大半を持つ月村すずか(本人の与り知らぬことではあるが)は、そんな二人の様子を困ったような微笑で見守っていた。……ここ一週間ほど、こんな様子が続いていたのだ。いつも穏やかで一歩引いた位置から親友を見守る彼女も、そろそろなんとかしなくちゃとは思っていた。正確には、ずっと一人で悶々としてるなのはちゃんにそろそろ我慢できなくなったアリサちゃんが突っ込むだろうから、そのフォローをしなきゃいけないな、と思っていた。色々考えつつもノートは誰よりきっちりと取られている。後でなのはたちに貸すつもりなのだった。
「…………にゅぅぅぅ〜〜……」
頭を抱えたなのはが、妙に可愛らしい鳴き声を漏らす。アリサの指は人知れず16ビートの域に突入した。
そして教師の話が一段落したところで、すずかはそっと首を回して、先程からなのはの目が知らず知らず引き寄せられていた、二つの空席を見た。
――――フェイト・T・ハラオウンと、八神はやて。
つまるところこの二名の、比重的には主に前者の不在が、なのはの不調の原因なのだった。
「あーもー鬱陶しいわねこの一週間延々うーにゅーと! あんたはどこのUMAなわけ!?」
「にゃー!?」
すずかの予想は正確だった。授業終了、教師退出、続く放課後の到来と同時にアリサは跳ねるように席を立ち、一直線になのはの席へと向かい、まだ座っていた彼女のアンテナもといリボンに結わえられた髪を引っ掴んだ。
「あ、アリサちゃーん!? 何するのー!?」
「それはこっちの台詞よ全く! この一週間延々唸り続けて気になるったらないわよもう! おまけにその原因ときたらたかが――――」
一息。
「――――たかが一週間、フェイトが出張してるだけでしょうが!!」
その通りなのだった。
厳密には、闇の書事件の時にはあくまで捜査活動の一環(という名目)だったこの世界での長期滞在を、進級等の諸々に合わせて正式に居住という形にする、その手続きの為にミッドチルダに行っている、ということらしい。八神一家も復学や今後のヴォルケンリッターの処遇などに伴う諸々を一緒に処理するために同行したのだとか。帰宅予定は今日だが、それまで連絡はほぼ不通だった。
それだけのことだった。それだけのことが、なのはを本人も驚くほどに追い詰めていた。
「……うぅぅー! アリサちゃーん!!」
「ほい来た。さあ思いっきりぶちまけなさい! 目の前で悶えられるよりまだマシだから!」
アリサの叫びがスイッチになったか、なのはの表情がみるみる悲しげになっていく。突進するなのはを受け止めるアリサ。教室のド真ん中で突如展開し始めた変に暑苦しい友情劇に、アリサちゃんはやっぱり優しいなあ、とすずかは一歩引いた位置で微笑みを浮かべていた。
「なんか私、変なの!」
「そりゃまああんたは基本的に変だけど」
「フェイトちゃんとはやてちゃんがちょっと出かけてるだけなのに、気になって仕方ないの!」
「あたしはあんたの奇声が気になって仕方なかったわ」
「二人は今何してるんだろうとか、フェイトちゃんは色々事情が複雑だけど手続きちゃんと出来たかなとか、シグナムさんとかとトラブってたりしないかなとか……とにかくフェイトちゃんとかフェイトちゃんのこととかフェイトちゃんのことが頭から離れないの!」
「前々から思ってたけど八神家の人たちって車みたいな名前よね」
まるで噛み合っていない会話もいつものことだと思ったか、残っていた生徒たちも次々に帰宅していく。またなー月村、ちゃんとあいつらのお守りしとけよー。うんまた来週ー、大丈夫だよ任せてー。
「今までもこういうことあったけど、こんなに気になることなんてなかったの……」
青春群像劇はクライマックス、涙すら浮かべそうな勢いでなのはがガバッと顔を上げた。
「ねえ! ――――私、どうしちゃったのかな!?」
え、そこでこっちに振るわけ?
崖っぷちで必死に助けを求めるようなその様子に、アリサは微妙に口元を引き攣らせた。微妙に予想しなかった角度からのパスだった。しかも肩をがっしりと掴まれて顔が近かった。
「…………えーと」
「うん!」
「………………その」
「うん!」
親友の助言を一言一句聞き漏らすまいとするなのはの様子に、途方に暮れたようにアリサは顔を横に向けた。
すずか、どうしよ?
アリサちゃんの思う通りに伝えればいいんじゃないかな?
……あたしがなんか言わなきゃ、ダメ?
アリサちゃんの思う通りに伝えればいいんじゃないかな?
優しく微笑んではいるが助け舟を出す気は皆無の大親友に心の中で涙を流し、アリサは明晰な頭脳をフルに回転させて言葉を探す。えーと、何を言ったらいいんだろうこれ、あーなんかすずかから借りた本の中でこーいうシーンがあったような、あの時友人は主人公に対して何て言ってたっけ、そう…………
「…………恋、じゃないの? ソレ」
言った直後に後悔した。
「……………………………………ふぇ?」
脳が意味を理解するのに一瞬。
なのはの顔が爆発したように真っ赤になった。
「ふ、ふぇええええええええええええええ!?」
大音声を至近距離で喰らったアリサの鼓膜が軋む。肩をすごい力で掴まれていて逃げられない。しかも無意識なのか、徐々に握力が増している。大魔王からは逃げられない、というフレーズが何故か脳裏を過った。
「こっこここここここ鯉!? 故意!? 濃いってあのそのうにゃー!?」
「落ち着きなさい、まず落ち着きなさいあたしの上腕骨を圧壊する前に」
「だっだだだだだって恋!? それってつまり愛!? 末は結婚!? どどどどどっちがどっち!?」
「――いいから落ち着けって言ってんのよこのばかちん!!」
アリサ一喝。よく通る声が鼓膜を抜き、なのはの心に燃える炎は水をぶっ掛けられたように静まった。めでたくアリサの上腕は危機を脱した。
「………………はぁ。ったく、その様子だとカケラも自覚してなかったみたいね。ま、なのはらしいけど」
「…………は、はぅあぁぁ……」
しかし顔は未だ赤いままだ。一拍置いて言葉の意味が浸透してきたのか、視線がアリサの瞳をまともに捉えられなくなっていく。
「いい? なんつーか認めるのがイヤで今まで口にしなかったけど、はっきり言ってあんたとフェイトって傍から見れば付き合ってるようにしか見えないのよ」
「は、はぇっ!?」
「蠅じゃなくてオシドリ夫婦ね。いっつも四六時中ベタベタベタベタ! たかが体育のドッヂボール一つで『私がきっとなのはを守るから……』『ありがと、フェイトちゃん…………』見ーてーるー方が恥ずかしいってのよ! ええそりゃもう見てる方が恥ずかしかったわよわかってんの!?」
「ごっ、ごめんなさい!?」
妙に演技力のある寸劇を交えた弾劾に、思わず謝る素直ななのはである。ちなみにすずかはといえば、
『アリサちゃん、生物としてのオシドリって結構離婚率高いよ?』
『シャラップすずか、慣用句に水差さない。今はなのはに自分の気持ちを自覚させるターンなのよ。この際だから徹底的にやるわ、でなきゃ羞恥でこっちの身が持たないってのよ』
『うん、わかった。二人とも奥手だから、いい機会かもね』
アリサとアイコンタクトで会話していた。この二人にはもはや念話すら不要なのかもしれない。
「で、でも私たち、そんなにべたべたしてたかなぁ……?」
「してたわよ。特にフェイトなんか情熱的過ぎて、思い余って式場の予約でもしてくるんじゃないかってハラハラもんだったわよ」
「え、わ、私じゃなくて、フェイトちゃん……が?」
「………………薄々感づいてたけど、あんたやっぱり、気付いてなかったの? フェイトの気持ち」
信じがたいものを見る目つきのアリサに、なのはは怯えた小動物の仕草でおずおずと済まなそうに頷いた。な、なんか私叱られてる?
「鈍感」
「あぅっ!」
「愚鈍」
「はぅっ!」
「鈍ちん」
「にゃぅっ! ……で、でもフェイトちゃんとは『友達』で、だからそんな、フェイトちゃんが、私を…………なんて、そんなこと、」
「ええいまだ口答えするかこの茶髪ついんてーるめ。自分に向けられる好意に鈍過ぎるのは、美徳でもあるけど欠点でもあるわね……」
そんなだからいつも貧乏くじを引くのだ、とは口に出さなかった。代わりに思いっきり呆れた溜息をこれ見よがしに吐いてやり、
「――――すずか」
「はい、アリサちゃん」
令嬢に仕えるメイドのような仕草でアリサにケータイを手渡すすずか。アリサは片手でケータイを開くと、何やら手早く操作する。
「……と、準備完了。なのは、画面をよーく見てなさい」
なのはの視線がディスプレイに固定されたのを確認し、決定ボタン。何やら動画が再生され始める。映っているのはどこか見覚えのある金髪ツインテールで……
『…………はいなのは、あーん』
『あーん。…………ふふ、フェイトちゃんのお弁当はいつも美味しいね!』
『そ、それは……やっぱり、なのはに喜んで欲しいから…………』
『えへへ、ありがと! 今度は私のをあげるね、はい、あーん』
『あ、ぅ…………えと、ありがと、なのは……』
『フェイトちゃん…………』
『なのは…………』
「…………ふぇえええええええええええ!?」
「どうなのは、客観的に見るとよくわかるでしょ? 自分達がいかにバカップルだったか」
「ふぇっ、えっ、なっ、はっ!? て、ていうかなんで録画してるのすずかちゃん!?」
「ふふ、私たちの大切な思い出だもの、ちゃんととっておきたくて」
「グッジョブすずか、よく撮れてるわ。ピュリッツァー賞狙えるかも。……うわーほわ見なさいよフェイトったら幸せそうに頬染めちゃって」
「恋する女の子の目だよねー」
「にゃ――――!! やめて止めて見ないでー!」
「他にもあるわよ。『フェイト、躓いたなのはを抱きとめる。フェイト過呼吸』『なのは、無自覚にフェイトに抱きつく。フェイト半失神』『体育倉庫で機材整理中に転倒、フェイト、なのはを押し倒す。フェイトの中の獣が解放されかける』」
「だからなんで撮ってるのー!?」
次々出てくる自分達の嬉し恥ずかしメモリアルに、なのはは半泣き気味で叫んだ。そうか、すずかちゃんやアリサちゃんから恋愛小説や少女コミックを借りて読んだりもしたけど、そこに描かれるシチュエーションに憧れたりもしたけど、私たちは既にその大半を実践してしまっていたのか。というか、ある時期から二人が恋愛モノを食傷だと敬遠するようになったのはもしかして私たちのせいなのか。全然まったくこれっぽっちも自覚していなかった。
「――――どう? これでもまだ自覚できない?」
「…………ごめんなさい、私が悪かったです……」
高町なのは、撃沈。もはや虫の息だった。
対照的にアリサはよし、と満足気。これで遂にあの、初々しい初恋に戸惑う二人、みたいな羨ま、ではなく鬱陶しい光景を所構わず見せ付けられることは無くなるのだ。そう、これからは自分の気持ちを自覚し互いに通じ合わせた二人の熱く濃厚なラブシーンが所構わず…………アレ? もしかしてレベルアップしてない? それ余計にダメじゃない?
何か致命的な失敗を犯した気がしてアリサが青くなった時、なのはのポケットでケータイが振動した。
「あれ、着信してる……。……っと、受信、と。――もしもし?」
目の前の状況から逃避したいという一心が作業速度を後押しする。一瞬のタイムラグの後、聞こえてきた声は――――
『――あ、もしもし。えと、なのは?』
「フェ――――――ッ!?」
まさに話題の渦中の人物、フェイト・T・ハラオウンのものだった。声を上げた姿勢のまま凍りつく。逃避のつもりがド真ん中だった。
『……アレ? な、なのは? どうかしたの? ……も、もしもし?』
「――はっ!? あ、えと、うん、なのはだよ!? どどどうもしてないよ! にゃ、にゃははははは!」
『……大丈夫? なんか、声、いつもと違うような……』
「そそそそう!? そんなことないよ平気だよ!」
微妙に声が裏返る。しばらく聞いていなかった優しい声が耳を打つ。う、嬉しいのに今は素直に喜べない……! あーまずい、声聞いてるだけで顔が熱くなってきた……。――楽しそうにこっち見ないでよぉアリサちゃーん!
「そ、それで、どうかしたの? 確かこっち帰ってくるのって今日だよね?」
『あ……うん、そのことなんだけど……えと、』
『――僕が説明しよう。その方が話が早い』
「クロノくん?」
割り込むように代わったのは、フェイトの義兄クロノ・ハラオウン。フェイトとはやてに同行しているとは聞いていた。
『結論を言えば、今日中にそっちに戻ることは出来なくなった。正確に言えば、実は第97管理外世界には既に戻ってるんだが、海鳴市には帰れない』
「……え? な、なんで?」
自分でも驚くほどわかりやすく声が沈んだ。
『……そう落ち込まないでくれ。悪いとは思うが、こっちも外せない用事なんだ。
――――ロストロギアが、見つかった』
その単語に、意識が止まる。
ロストロギア。捜索指定遺失物。既に滅びた超高度文明世界から流れ出た、強大な力を秘めるが故に危険な遺産。
――そして、彼女を魔法の世界に導き、フェイトやはやてと出会う切っ掛けを作った、彼女個人にとっても特別な存在。
『……まあ、実は今回のは、言うほど危険なものではないらしいんだが。ジュエルシードの模造品、のようなものらしいが、その出力はジュエルシードには遠く及ばない。もしこの世界の住人が拾ったとしても、それほど厄介な事件は起こらないだろう。ロストロギアと呼ぶほどの性能ではないんだが、他に当てはまる言葉が無いんでね。
何の因果かまたしても君たちの世界の、それも日本国内■■県に眠っていたらしくてね。丁度こっちに戻ることになっていた僕たちがそれを確保することになったわけだ』
「えっと……私は、行かなくていいの?」
『ああ。僕とフェイト、それにはやてで十分に対応できる。バックにはアースラスタッフも居るし』
クロノがそう言うなら、そうなのだろう。仮にもロストロギアの名が付くものに対して、彼が無茶をするとは思えない。
「……そう。気をつけてね?」
『言われなくとも。じゃ、そういうことで――――はやて? 代わるのか、ってうわ、無理に乗り出すな! ちょ、やめ、マズ、ぐあぁっ――――――』
『――あ、なのはちゃん? あたしや。おひさー』
声がはやてのものに交代した。代わり際になにかすごい音がしたが、向こうは一体どういう状況なのだろう。
「はやてちゃん……」
『んー? 声に元気が無いなー? やっぱり一週間もフェイトちゃんから引き離されるんは耐えられへんかったか』
「んにゃっ!? な、なんではやてちゃんまで知ってるの!? ――――――――あ」
ダメだ。ちょっと突付かれただけなのに、私、動揺しまくってる。
『…………おぉ。これは見事な自爆。そうかーついになのはちゃんも自覚するようになったかー。なんか感慨深いものがあるなー、なのはちゃんも色を知る歳か!』
「や、そ、そんな、別にそういうわけじゃ」
『ええてええて、皆まで言わんでも。乙女心はよぉ〜くわかってるて』
八神はやてという人物、こういうときに皆まで言わせてくれたことがない。少しは話を聞いてほしいとなのはは思った。
『やー、実はな? この一週間、フェイトちゃんも大変でな? なのはちゃんに会えなくて寂しいからって夜な夜な』
『はやて!? ちょっと何言ってるの!?
…………あ、なのは? ち、違うんだよ? 私はふ、普通だったよ?』
「にゃ、にゃはは……」
そのあからさまな言い訳に、思わず頬が緩んでしまう。夜な夜な、どうしたんだろう。
『ちょ、フェイトちゃん、わかったて、わかったからちょぉ離して……さ、さすがにジャケット無しじゃソレは耐えられへんから……』
『あ、ご、ごめんはやて。つい、思わず』
『……ぁ〜、つい思わずで死ぬかと思った。……さて、なのはちゃん?』
「ふぇ?」
頬を緩めたまま幸せそうに呆け、受話器の向こうの物騒な遣り取りを完全にスルーしていたなのはは、はやてに呼びかけられて我に返った。
『今回の件が上手いこと手早く解決できれば、たぶん今日の夜か、遅くとも明日には帰れると思う。だからそれまで我慢したってや』
「が、我慢って、別にそんな……」
『まあフェイトちゃんの貞操がそれまで無事かどうかは保証しかねるけどなー』
「ぅえ?」
―――― 間。
『はやて!?』
『あっはっは、いやそのな? 今リンディさんやエイミィさんはアースラでバックアップに回っとってな、守護騎士の皆は諸々の処理の残りがあってまだ本局に居るんよ。だから今はあたしら三人だけでな? ほら、年頃の男女が一つ屋根の下ーな状況ってわけやんか』
「ふぇぇぇぇぇぇ…………」
普段のなのはなら、いつものはやての際どいジョークだと笑って流せたかもしれない。
けれど今、彼女は恋だの愛だので散々に感情を振り回されたところであり、そこにタイミングよく滑り込んだはやての言葉はあっさりと意識を占領した。
――――面白い。普段と違ってなのはの反応が美味し過ぎるせいで、はやてはつい調子に乗った。
『ほら、最近フェイトちゃん、クロノくんと仲いいやん? お兄ちゃぁんとか言うて。その妹の純粋な好意に理性が耐えられへんようになるのも時間の問題やと思わへん?』
『思ってたまるかこのノンストップボケ!! なんで僕まで巻き込んでるんだ!?』
『それに今はあたしも一緒やし。あー、フェイトちゃん、これはもうダメかもわからんなー?』
『ちょ、はやて、なんで首に手を回すの!? や……ちょ、そこ、やめ、んぁっ』
あああああフェイトちゃんがフェイトちゃんがフェイトちゃんが…………!!
フェイトの妙に艶っぽい声になのはの思考が拡散する。何故か思わず鼻を押さえた。というかはやて、自分自身を襲う側にカテゴライズするのですか。貴女はそれでいいのですか。
『あはははー良いではないか良いではないかー。ほなまたなーなのはちゃん、アリサちゃんとすずかちゃんによろしくなー』
『あん、ちょっとはやて、ホントにやめてってば! く、くろのぉ、見てないで助けてよぉ』
『見てないッ! くそっ、僕にどうしろというんだ……!』
『そんなん混ざればええやんー。あはははは、ここかーここがええのんかー』
『ひゃっ、だ、ダメだってばぁ……! な、なのはぁ、その、んあ、す、すぐ帰るからね!? はやての言うコトなんて信じちゃダメだからね!? そ、それじゃまた……やっ、は、はやてー!』
そこで、通話は途切れた。何かを叫ぼうとしたなのはの出鼻を挫くように不通音に切り替わる。ケータイを砕かんばかりに力強く握り締めたまま、なのははしばし立ち尽くし、そして凄い勢いで振り返った。
「――――アリサちゃん! すずかちゃん!」
「…………まあ、あんたの様子見てれば、どういう会話だったかは大体わかるんだけど」
伊達に天才を名乗ってはいない、アリサの洞察力は驚異的である。それ以前に親友達の個性が強過ぎてわかりやすすぎるのかもしれないが。
瞳に涙を湛え、なのはは切実な叫びを上げた。
「どうしよう、――――フェイトちゃんがはやてちゃんに汚されちゃう!!」
衝撃的な告白に、アリサとすずかは実に形容し難い顔をした。そんなことを言われても困るのだった。
……はやてめ。私たちにフォローを押し付けたな。
アリサとしては正直まともに対応したくないので口ごもっていると、選手交代とでもいうように、脇に控えていたすずかが一歩、前に出た。
そして一言。
「――――結局なのはちゃんは、フェイトちゃんのことどう思ってるの?」
あ、とアリサは手を鳴らす。
言われてみれば根本的な部分が置き去りになっていた気がする。置き去りにしたのは自分達だという事実は棚に上げた。
「……そーいえばそーね。考えてみればまだ本人の口からはっきり聞いてないのよね」
助けを求めていたはずのなのはは、すずかと対照的に一歩下がった。『はさみうち!』と脳裏にフェイトと一緒にプレイしたRPGのバトルシーンが蘇る。
「え、えーと……そ、その話はまた今度で」
「却下」
ひぅ、と狼狽するなのはに、アリサは容赦無く言葉の剣を振り下ろす。
「答えなさい! 結局あんたはフェイトのこと、どう思ってるの!?」
「あ、え、えっと」
「好きなの!? 嫌いなの!?」
「す、好き!」
逃れられない両断の刃に、なのははつい反射的に答えてしまった。一瞬置いて背筋が凍る。今のは致命的な失敗だった気がする……!
しかし、その警鐘を具体的に意識する余裕など、与えられはしなかった。
にんまり、とアリサの口の端が釣り上がる。その貌は獲物を前にした猫科の動物に似ていた。
「よし! はい復唱! あんたはフェイトが好き!」
「わ、私はフェイトちゃんが好き!」
「むしろ愛してる!!」
「むしろ愛してる!!」
「ぶっちゃけあれこれしたい!!」
「ぶっちゃけあれこれ……あれこれ!?」
「そこでうろたえない! 世界の中心で!?」
「あ、愛を叫ぶ!!」
「なら叫びなさい!!」
処理が追いつかない尋問の嵐になのはのCPUはオーバーヒート、あらゆるプロテクトを剥ぎ取られ、曝け出されるのは偽りの無い、たった一つの真っ直ぐな気持ち。
「私は、フェイトちゃんが、大好きぃ――――!!!!」
すきぃ――――、すきぃ――――、すきぃ――――………………。
エコーが収まり、教室に久しい静寂が訪れた。
結界じみた沈黙が広がり、校庭の喧騒も遠のいた気がする。
アリサは、自分が言わせたくせにあまりに情熱的な告白を直視してしまい、今更恥ずかしくなってきていた。
すずかは、その熱意に当てられて顔を紅潮させながら、それでもにこーっと嬉しそうに微笑んでいた。
では、なのはは。
「……そこまで言えるんなら十分でしょ。フェイトを信じてやりなさい」
わかったようなわからないようなアリサなりのまとめにも、なのはは俯いたまま返事をしない。
元来高町なのはという少女は目立つことを良しとしない。航空力学者が見たら卒倒するような軌道で飛行したり兵器開発者が見たら失神するようなビームをバカスカ撃ったりしているが、本来彼女は大人しく控えめな少女なのだ。誰がなんと言おうとそうなのだ。
自分の主義主張を抑え、自分の性格を殺してでも、周囲の人間関係が円滑に進むことを優先する、そういう優しい、優し過ぎる少女なのだ。
そんな彼女が恋をした。きっとそれは遅い初恋だった。不器用という次元ではなかった。自覚する術すらも知らなかった。
そんな、本人ですら制御し切れていない秘密を、よりによって親友達の目の前で、下手をすると全校に響き渡る大声で、ノリとテンポと勢いのまま、凄まじいテンションで解放してしまったのだ。
恥ずかしい、というレベルではなかった。
これまでの短い人生の中でも、もしかしたら最高に感情が昂った瞬間かもしれなかった。
心というものに最大瞬間風速的な単位があったなら、この一瞬、間違いなくメーターは振り切れていた。
それくらいに体感したことのない、自我の果ての境地だった。
端的に言えば、彼女の精神の限界を突破していた。
ぶっちゃけて言えば、頭のネジが二、三十本、まとめて景気よく吹っ飛んだ。
「…………ふふ、うふふふふふふふふ…………」
俯いたまま唐突に不気味な笑いを零したなのはの姿に、アリサとすずかはびくりと震えた。遅まきながら理解が及ぶ。
……なんか、まずいスイッチを入れてしまったかもしれない。
と、なのはががばっと顔を上げた。その真っ赤な笑顔に爛々と輝く瞳を見て、アリサとすずかは戦慄した。
「――ありがとう二人とも! なんか色々吹っ切れた気がする!!」
後に月村すずかは語る。
あの時なのはちゃんが吹っ切った『色々』には、きっと倫理とか常識って名前が付いていたんだろうと、今になって思います――――
「そうだよね! やっぱり結局一番大事なのは自分自身の気持ちだよね!」
「……な、なのは?」
「なのはちゃん……?」
「ん!? どうしたの二人とも!?」
その陰一つ無い満面の笑みに、アリサは悪い予感を抑えきれずにあーとかうーとか唸ったものの、結局いい言葉が見つからずに口を閉じた。何故か直視出来ずに視線を床のタイルに落とす。
「……いや、その。まあ、あんたがいいと思うんなら、いいんじゃない……?」
「うん!! きっとこれでいいんだと思う!! だから!!」
――だから?
ぎょっとした二人がなのはに視線を戻すと、彼女は両手を決意の固さに握り、
いつの間にかその左手には、あの、赤色の宝石が――――
「――今からフェイトちゃんを助けに行ってくる!!」
「……はあ!?」
三秒くらい理解が遅れた。そしてそれは致命的な隙だった。
慌てた二人の方を向きもせず、なのははダッシュを開始する。
――って、ちょっと待ちなさいそっちは窓じゃない――――!?
「風は空に! 星は天に!」
桜色の光が踊るように、少女の元へと集束していく。
「輝く光はこの腕に!!」
その、自然界の法則を支配する輝きを、人は魔力光と呼ぶ。
「っぎゃーーーー!? ちょっとあんた今自分が何してるかわかってんのーーーー!?」
「もちろん!! きっととっても大切なことだよ!!」
自信満々に答えるなのはを見て、アリサは悟る。
手に負えねぇ。
開きっ放しだった窓から躊躇無く飛び出し、なのはの唇は最後の言葉を軽やかに紡ぐ。
「不屈の心はこの胸に!」
窓の外、落ち行く彼女を包み込む、鮮烈な輝きが炸裂した。
「レイジングハート、セェェェェット・アァァァァァァァァップ!!」
閃光にアリサとすずかが思わず目を閉じた刹那、ジェット機の衝撃波にも似た爆音が響いた。
教室の窓ガラスがびりびりと震える。
二人が再び視界を取り戻した時には、当然ながらなのはの姿は消えていた。
しばし呆然と、輝きの残滓が残る空を見上げる。
目に痛いくらいに青い、晴天だった。
「……………………」
「……………………」
そして二人は顔を見合わせ――――
「……すずか」
「うん?」
「駅前にいい感じの喫茶店が出来たのよ。帰りに寄ってかない? 奢るわよ」
「え、ほんと? 行くよもちろん! あ、でも自分の分くらい自分で払うよ」
「…………たまには見栄くらい張らせなさいよ」
「え? 今何か言った?」
「なんでもなーい! さ、行きましょ!」
――――とりあえず、全てを忘れることにした。
「……ところでさ、すずか」
「うん?」
「さっき、割り込むみたいに『ぶっちゃけあれこれ』……って、あれ言ったの、すずかよね?」
「えへへ、何のことかなアリサちゃん?」
「…………いや、なんでもないわ。空耳だったのかも」
問題は魔力量である。
当然だが、飛行するだけでも体内に蓄積した魔力は徐々に消費されていく。
一定範囲の空域を戦場とする戦闘中はその影響など微々たるものだが、無補給での長距離飛行そのものが目的である場合、話は異なってくる。
AAAランク魔導師の莫大な魔力量でも、海鳴市からフェイトの居るところまでを一息に移動するのは無理だった。ペース配分を考えつつであれば可能だったかもしれないが、それで速度を殺していては本末転倒だ。
だから彼女は考えた。どうすれば最速、最短時間で目的地まで辿りつけるのか。
――――導き出された解は、確かに時間的側面だけを見れば、最善だったと言えるだろう。
日本国内某県某市、在日米空軍基地飛行場。
海鳴市から最も近い、航空戦力を保有するその場所は、その日、レーダーに彼我不明の機影を捉えた。
『――――正体不明の機体が高速接近中! ……速過ぎる、なんてスピードだ!?』
『当基地へと一直線に飛行してきます! 機種の特定不可能! まともなデータが取得できません!』
『映像、来ます! ……こ、これは……!?』
『……少女、いや美少女です!! 美少女が高速接近中!! 接触まであと30!!』
『これが、ジャパニメーションの力だというのか……!?』
『――――――距離ゼロ、衝撃来ます!!』
容易く警戒網を突破し、高町なのはは轟音と共に基地敷地内へと降り立った。
即座に二重包囲の態勢にかかった警備兵二十余名をアクセルシューター一発で無力化し、禍々しい排気音を残してフラッシュムーヴで瞬間加速。この時点で既にレイジングハートが行ったジャミングで基地の電子装備は片っ端からソフトキルされている。それにしてもこのデバイス、ノリノリである。
桜色の閃光が基地本部ゲートを紙の様に切り裂き、なのははアクセルフィンを羽ばたかせて一切の躊躇無く突入した。
広域走査で司令室の位置を把握し急行、微妙に音速を超過して発生した衝撃波で扉を吹き飛ばす。中では基地司令が、椅子から転げ落ちたままの姿勢で凍り付いていた。
「この基地で一番偉い人にお話があります」
完全に正気ではない瞳で、高町なのはは言葉を投げた。
反応を返さなければマジ狩ルされる、とほとんど本能に命じられて基地司令はそろそろと手を挙げる。言葉を返さなかったのは、単に畏怖で口が回らなかっただけである。
素人が直視したらトラウマになりそうな視線を向けて、なのははにこやかな笑顔と共に言い放った。
「貴方には二つの選択肢があります。私のお話を聞いてくれるか、私にお話を聞かされるかです」
その両者の違いはつまり、武力を行使するか否かという点なんだろうなあ、と絶望的な心境で基地司令は悟る。混乱と恐怖が行き過ぎて、もはや逆に落ち着いてしまっていた。抵抗しても無駄なんだろうなあ、ということである。
「……『お話』を、聞こうか」
それは世界でも最新鋭クラスの装備を保有する軍事施設が、たった一機の魔導兵器、ではなくたった一人の魔法少女に一瞬で全面的に制圧された瞬間だった。
なのはは花が咲くような愛らしい笑顔を浮かべ、
「よかった! じゃあ、お願いです。ここで一番速い飛行機と、一番腕のいい操縦士さんを貸してください!」
物凄く物騒な要求を提示した。
所変わって、■■県唯一の空港。
クロノ・ハラオウンは人ごみを掻き分け、必死に走っていた。
「くそっ、信じられない! なんて世界だ!? 手荷物検査がありながらロストロギアをスルーするなんて!」
「いやそら金属は探知できても魔力は検出でけへんからなあ……」
「しかも追いかけようとしたら危うくデュランダルを奪われるところだった! 執務官相手になんてことを!」
「いやそらデバイスは一応金属製の危険物やしなあ……」
追跡中の似非ロストロギア、ジュエルシードコピー(仮)。クロノたちの到着前に何故か現地の一般人が拾ってしまったらしく、しかも間の悪いことにその人物はそのまま空港へ行ってしまい、クロノたちが追いついた時点で既にチェックを済ませ、海外へ飛ぶ飛行機の中だった。なんて無駄に手際のいい一般市民だ、とやり場の無い憤りを必死に静める。
仕方ないので人の少ない場所で幻惑魔法を使い、立ち入り禁止の滑走路内へと侵入し、出発前に何とか確保するというプランを遂行中である。飛行スキルの高いフェイトは単独で別ルートを探っているところだ。……実のところ、あの電話でのやり取りで必要以上に警戒心(はやてとクロノに対する)を強めたフェイトが自ら申し出たことだが。
アースラにはサポートとしてユーノも連れて来ているし、最悪の場合飛行機の出発を止める手段はいくらでもあるものの、正直魔法はあまり使いたくなかった。人目が多いのもあるが、よくわからないロストロギア相手に下手に魔力で刺激を与えたくはない。
そう考えを巡らせたまさにその瞬間、クロノたちが追っていた旅客機の一角で、明らかに普通ではない爆発が起こった。
ターボファンエンジンの壮絶な咆哮を置き去りに、戦闘機F-15が大空を駆け抜ける。
それは地上から見上げる人々にとっては日常でしかない光景だったが、操縦している側からすれば非日常もいいところだった。
哀れな操縦士の表情は強烈なGのためだけではない理由で引き攣り――――その『理由』は、非常に無理な体勢で単座のコクピットに無理矢理収まっていた。かなり窮屈な姿勢に見えるが、そんなことは気にも留めない強靭な意志を秘めた顔をしている。
ある意味異性とこれ以上なく密着しているような体勢だが、接触部分に感じる気配が、彼には死神の鎌に思えて仕方がなかった。ちなみに彼の名誉の為に補足するが、この不幸な操縦士はロリコンではない。
メーターが示す速度は、現在マッハ2.3。
『…………も、もう無理だ! これがこの機体の最高速度なんだ! 燃料だって補給もしてない、あんまり無茶すると帰れなくなるぞ!!』
「大丈夫なの。いいからもっと急ぐの」
平坦すぎる声色に操縦士の顔から血の気が引く。
ああ神様、今まで日曜礼拝サボったりして悪かった、これからはちゃんと毎週欠かさず行く、聖書だって暗記する、だから頼む、俺に再び生きて地面を踏ませてくれ――――――
『…………チクショウ! どうなっても知らねェぞ!!』
エンジンの咆哮が雄々しさを増す。
鷲の名を冠された機体は、長年共に空を飛んできた操縦士ですら未知の速度域に突入した。
フェイト・T・ハラオウンは、その覚えのある気配に戦慄した。
「まさか…………ロストロギアが、起動した……!?」
見れば目標の飛行機は異様に濃密な煙を上げ、その霞む景色の奥に、何か、黒く蠢く影が見える。
ロストロギアが生み出した、暴走思念体。
ジュエルシードの模造品だと、クロノが言ったとおりだったようだ。視覚よりもむしろ、放たれる魔力と理性の欠けた敵意で確信した。
まずい。最悪だ。こんなに人が多いところであんなのが暴れたら、どれだけの惨事になるのか見当も付かない。
形振り構わずバルディッシュを起動させようとして、ふと先程のはやての言葉を思い出す。
……へ、変身中は確かにその、イロイロと無防備だけど、そ、そんなの今更気にすることでもないし、気にしてる場合でもないし……!
微妙に身の危険を覚えつつも人ごみから離れ、いざバリアジャケットを装着しようとした瞬間、ふと、声を聞いたような気がした。
「――――――――なのは?」
誰よりも大切で愛しい、あの子の声を。
ビシリ、とキャノピーが不吉な音を立てた。
音速の2.5倍で空を疾走するF-15のコクピットで、現時点で世界一不幸な操縦士は涙を堪えて叫びを上げた。
『――もうダメだ!! 限界だ、機体が持たない!! この速度は2分が構造上のリミットなんだよ!! いやだ、俺はまだ死にたくないー!!』
しかし白い装甲を纏う少女は、そんな悲痛な願いも一蹴する。
「大丈夫。エンジンさえあれば空は飛べるの」
『助けてくれええええええええ!!』
絶叫しながらも先程教えられた目的地が近づいていることに気付き、彼は一抹の希望の光を見た。この距離ならそろそろ減速だ、機体が壊れる前に到着できる――――!!
『だ、だがそろそろ目的地も近い! よかったな、機体は持ちそう、俺は生きて帰れそうだ!! 減速に入るぞ!!』
しかし杖状の凶器を抱える少女は、そんな切実な希望も一蹴する。
「ダメなの。今は一分一秒も惜しいの」
『……は? だ、ダメっつったってそんな、目的地はもうすぐそこなんだぞ!?』
「減速のことは考えなくていいの。いいからもっともっと速く、速く!!」
こちらに視線も向けずに応え、少女は何やら手にした杖を弄りだした。可愛らしい外見とは裏腹の異様に重苦しい動作音が、操縦士の擦り切れそうな心を圧迫する。
『げ、減速のことを考えるなって、無茶言うなよ、そりゃどういう意味だよ!?』
その言葉に、自信に満ち溢れた表情で、恋する乙女は完結明瞭に言い切った。
「――――地面にぶつければ、止まるから!!」
操縦士の意識は遂に真っ白に染まった。それはある意味では最後に彼に与えられた、救いなのかもしれなかった。
――――アイダホの母さん、ごめんなさい。今度、息子の代わりに悲しいお手紙が届くことになってしまうかもしれません――――
目的の空港を眼下に捉え、F-15は一直線に地上目掛けて落ちていく。なんか滑走路で爆発が起きてるけど気にしない。騒音とか振動とか周辺環境への影響とか、そういうのも今だけはまとめて意識から捨て去った。余分は全て、削ぎ落とす。
「エクセリオンモード、起動。アクセルチャージャー起動、ストライクフレーム展開」
『O.K. A. C. S., standby』
重火器でしかありえないアクションでカートリッジロード、弾き出された薬莢はそのまま彼方へ吹き飛んだ。
リリカルさの欠片もない駆動音すら置き去りに、手にした杖は槍へとその姿を変えていく。
耐圧限界を超えたキャノピーが砕け散り、自動展開されたプロテクションに弾かれ後方へと流れ去る。
今や全てを貫く黄金の槍と成ったレイジングハートを手に、彼女は真正面から目的地を見据えた。
「最終加速、いくよ……」
『Yes. My master』
信頼を愛杖に託し、彼女は心の中に最後に残った、たった一つの大切なことを完遂する。
フェイトちゃんの側へ、誰よりも近くへ、誰よりも速く、世界で一番大切な人のところへ。
「――――全・力・全・壊!! エクセリオンバスターA.C.S.、ドラアアァァァァイブ!!!!」
『―――― ignition ――――』
最初に気付いたのはフェイトだった。だから彼女は硬直した。
離れた場所から走ってくるクロノとはやてが、凍りついたフェイトを見て息を飲む。
「バカ何やってるんだ危ないぞ!!」
「フェイトちゃん、ちょ、上ーー!!」
はやての警告通り、ロストロギアによって生み出された黒い影は、旅客機の荷物倉庫からフェイト目掛けて跳躍した。
それでも、フェイトは動かない。
クロノとはやてが、一瞬後に起こる惨劇を予想して思わず目を閉じる。
何が何だかわかっていない見物人達も、少女が黒い影に潰されるということだけは正確に察し、瞬間的に目を背ける。
黒い影は獲物であるフェイトだけを見据えていて、
だから、青空より来たるその姿を見届けたのは、フェイト本人だけだった。
「…………ェ――――――――ィ――――――ト――――ちゃぁぁぁぁああああん!!!!!!」
「――――な、の、はぁぁぁあああああ!?」
高町なのはが、何故か自分にストライクフレームの先端を向けて突っ込んできていた。
殺される――――本能的な恐怖が過る。が、その意味を咀嚼するより早く、視界を黒い影が覆った。
――――しまった、ロスト、ロギアが。
黒い影の中に光る目と目が合い、危機感で思考が停止する。
が、更にその次の瞬間。
「邪魔ぁぁあああ!!」
黒い影は手加減無しでぶっ放された零距離エクセリオンバスターで吹き飛んだ。
そのまま減速することなくなのははこちらに落ちてきて、フェイトは知らず抱きとめるように両手を差し伸べる。
触れる直前、レイジングハートはモードリリース、赤い宝石のペンダントにその身を戻し。
――フェイトの脇腹にものの見事になのはの超高度からのダイビングタックルが直撃した。
ごふ、と息を零したフェイトの意識が霞みかけ、
クロノとはやての脳髄があまりの事態に処理落ちを起こし、
状況についていけなかった野次馬たちは、真の脅威を逆光の空に目撃した。
轟音。
エクセリオンバスターで吹き飛ばされた黒い影は、落下して地面に叩きつけられた直後に墜落してきたF-15に圧し潰されて爆散した。
一瞬遅れて地面に接触したF-15は運動エネルギー保存則に従い、木っ端微塵に砕け散る。
更に一拍、ほとんど空だった燃料タンクに引火したのか、残骸としか呼べないソレは大爆発。見事に火焔の大輪を咲かせた。
辺り一面が赤熱のコントラストに彩られる。
目撃者たちは、この間唖然としたまま、誰一人として身動き一つ出来なかった。
硬直した場の空気を全く読まずに、ベイルアウトさせられていた操縦士が失神したままふわふわと、パラシュートで降りてきた。
「…………ィトちゃん、フェイトちゃん、フェイトちゃんフェイトちゃんフェイトちゃん!!」
「……な、なのは…………」
気付けば周囲を炎に囲まれ、フェイトはなのはにきつくきつく抱き締められていた。
な、なんだろうこの地獄絵図、でもしあわせー…………とか思っているあたり彼女も中々の剛の者である。タックルで脇腹が痛むことなど、なのはの前では一片たりとも表情にすら漏らさない。
「……えっと、その…………なんで、居るの?」
思わず零れた率直な疑問に、なのはは首を傾げて表情を曇らせ、
「……フェイトちゃんは、私が居ると、嫌?」
「そんなこと絶対無いよ!!」
即答だった。完全に思考より先に言葉が出ている。もしかすると脳を経由してすらいないのかもしれなかった。
「えへへ……ありがと。……え、っと……ね」
なのはは嬉しそうに顔を赤らめつつも、躊躇いに口篭る。
それはそうだ、本人ですら自分自身の行動をまともに理解していないのだから。今更ながら徐々に頭が冷えてきて、ひょっとして私すごいことをしてしまったんじゃないだろうかと不安が背筋を這い登ってくる。
――――でも、まあ。
目の前にある顔を見て、そういうのは後で考えよう、と思った。
今一番優先すべきは、この手の中に居る人のこと。
「………………た、………助けに、来たの」
「――――――――え?」
なのはに抱きつかれながらも、フェイトの思考は空転する。
助け? 何の? ロストロギア?
――――違う。あの時なのはは、自分は行かなくていいってことをちゃんと理解してた。
なら、その後の……?
「……も、もしかして…………はやてが、あんなこと言った、から? ……それだけのことで?」
「それだけのことじゃないもん!!」
唐突な強い訴えに、フェイトは目を見開いた。今のなのは、何か、いつもと違う。
…………私、この目を知ってる……。
そう、魔法を使って事件に相対する時。彼女が、魔法を使ってでも、意志を貫き通すと決めた時の、瞳。
――――ただ、彼女が他人の為ではなく、自分の為に意志を貫くと決めたのは、もしかしたらこれが初めてかもしれなかった。
「……フェイトちゃんのことならなんだって、私にとっては、『それだけのこと』じゃないよ……」
え。それ、は。どど、どういう、意味、だろう。
なんというか熱の篭った台詞に煽られ、フェイトの心が一気に温度を上げる。
「ううん…………そうじゃないのかも。きっと、私は」
そこでなのはは一旦言葉を区切り、真正面からフェイトを見据えた。
「――――私は、いつだって、フェイトちゃんの一番近くに居たいから」
――――――――。
瞬間、フェイトの心臓は確かに止まった。
「――――――――――――は。
……え、いやあの、そそそそれって!?」
再起動したフェイトは嵐のように大慌て。
腕の中のなのはは、真っ赤な顔を隠すように斜め下に視線を向け、でも潤んだ瞳はちらちらとこっちを気にして、体は――――怖がるように、小さく震えていた。
それに気付いて、フェイトの胸にすとんと理解が広がった。
――――そっか。なのはだって、こういう時は怖いんだ。
なら私も、勇気を持って答えよう。
深呼吸して、覚悟を決める。
「……えと、なのは。――――私もきっと、一緒の気持ちだ」
不器用な台詞に恥ずかしくなる。こういう時、もっとかっこいい言い回しとか出来ればいいのに。
――――そんなフェイトのネガティブな内心は、強い抱擁によって打ち消された。
「――――――」
言葉は無かった。
今だけは言葉なんか無くても心を直接繋げる気がして。
フェイトもおずおずと、強い意志を秘めた小さな体を、抱き締め返した。
「……………………」
「……………………」
瓦礫の山に背を預け、クロノとはやては呆然と空を眺めていた。むかつくほどに晴天だった。
「…………なぁ、クロノくん……」
「………………なんだ、はやて……」
胡乱な調子ではやてが尋ね、やる気なさそうにクロノが応じる。
「…………この状況、なんやろな…………」
「…………頼むから、僕に聞くな…………」
二人とも、今だけは何も考えたくないと思っていた。色々と処理しなくてはならない問題があった気がしたが、せめて今だけは。
現状を整理すると、どうやらなのはがぶち切れて、魔法で戦闘機を奪ってここに来た、ということらしい。
――――重犯罪である。国際問題である。場合によっては次元犯罪かもしれない。はやて的には原因に思い当たることが無いでもないが、深く考えると自分の負うべき責任が恐ろしいことになりそうなので意図的に考えなかった。
「――――あ。でもロストロギアは破壊できたなー犠牲者ゼロで…………」
「………………そうだな、よかったな…………」
結局あのロストロギアのようなものが何だったのかはわからずじまい。もはや破片すら残っていない。
アースラから通信要請が来ている気がしたが、今だけは無視した。説明のしようがないんで直接現場に来てください、と投げやりなメッセージを送る。
前を見た。炎の中で抱き合う親友二名が居た。現実は何も変わらなかった。
だから、空を見ることにした。人、これを逃避と呼ぶ。
「…………なぁ、クロノくん……」
「………………なんだ、はやて……」
「…………あたし今、一つ新しく決意したことがあるんや…………」
「………………奇遇だな、僕もだ………………」
――――なのはとフェイトを無理に引き離してはならない。かといって野放しにもしておけない。
あの二人が一緒に居られる場所を作り上げ、高ランク魔導師保有制限を利用して魔力リミッターをかける。あ、あと凍結魔法も覚えよう。いざという時、動きを止めるために。
人知れず、二人は遠大な計画の実行を決意した。後にこの事実が機動六課設立のきっかけの一つとなったことを、二人は決して人に語ろうとはしなかった。
こうして『プレシア・テスタロッサ事件』『闇の書事件』に続き第97管理外世界にて発生したロストロギア関連事件、『桜色の流星事件』は結末を迎えた。
管理局発足以来最速、かつ犠牲者ゼロで解決したロストロギア関連事件ではあったが、前二つの事件とは比較にならないほど現地建造物に対する被害を出した事件でもあった。
この事件に関しては、犯人や状況推移などの記録が一切残されていない。レポートにはロストロギアによる不幸な事故だった、とだけ記されている。好奇心を持った者が関係者に聞いても、誰もが口を重く閉ざした。そしてなのはとフェイトにだけは聞くなと必死に説得をし始めた。
そして現地世界でも、『桜色の流星』に関しては一切報道されなかった。米軍基地のカメラに残されていた映像記録を抹消前に見た者や、基地の損害や事件の責任について疑問を持った者が関係者や米国に問い合わせたりもしたが、「金色の鎌を持つ死神が背後に居るんで、その話はちょっと」という言葉以外に十分な回答は得られなかった。また在日米軍の一名の操縦士が軍を退役して本国に帰還し、その後は熱心なプロテスタント信者となったという話があるが、本件との関係は不明である。
この事件が周囲にどういった影響を及ぼしたのか、それを全て把握できたものは恐らく、居ない。だが、事件前後で変わった点といえば、一つは――――――――
「アリサちゃん、目が死んでるよ」
学校からの帰路、すずかは隣を歩くアリサに不吉な言葉を掛ける。
「…………そりゃーいい加減目も潰したくなるわよ、こうも毎日毎日見せ付けられちゃあね……」
返答するアリサは、確かにすずかの言うとおり、MPを吸い尽くされたような気配が漂っていた。
その視線は、前方――正確には、前方を歩く二人の親友に、力なく向けられている。
「…………いや、本当に。あの日のことは、後悔してもしきれないわ。あの日のあたしの言動は、アリサ・バニングス七つの大罪の一つに入るわね」
「他の六つは何なんや?」
「乙女の秘密よ。というかあんたも同罪なんだからね、はやて」
切り返す口調にも覇気が無い。ちなみに残り六つの内の一つはアニメ一期第六話参照らしい。
「勘弁してや……指揮官適性持ちのあたしかて、あんな超展開は想定できひんよ……」
応じるはやての表情も陰鬱ではあるが、目の底の方に現状を面白がっている色が見え隠れしていた。
そして、二人は揃ってセメントのような溜息を吐き、視線を再び前へと向けた。
「――あ、そだ、フェイトちゃん。あのね、今度翠屋で新作出すんだってお母さんが言ってたの。それで、よかったら今日、家で試食してかない……?」
話しかける口調は以前と同じだ。しかし、なのはの手がフェイトの腕に絡んでいるのは、以前は無かったことだった。
「え、いいの……? わ、私、料理の味とかあんまりわからないけど……」
妙に熱っぽい表情でフェイトはおずおずとそう返した。対するなのはの顔も、微かに上気しているように見える。
「にゃはは、いいのいいの。お客さんの率直な意見が欲しいってお母さん言ってたし、それに……本当は、誰より早くフェイトちゃんに、食べさせてあげたかっただけ、だから」
とっておきの秘密を明かすように、フェイトの耳元でなのはが囁く。元々赤かったフェイトの顔は更に濃い朱に染まった。
「な、なのは……えと、ありがと…………」
「ううん、フェイトちゃんのためなら……」
互いの瞳を覗くように見つめる。視線が絡み合う時間も、以前よりずっと長くなっていた。
「なのは…………」
「フェイトちゃん…………」
そして、二人の顔は自然と、徐々に距離を詰めていき――――
「――――前より仲良くなったよね、あの二人」
「なり過ぎだっつってんのよ!!」
すずかの総括に間髪入れず返った言葉と同時、アリサのクロス突っ込みがピンク色の結界を作り出していた二人の頭を張り飛ばした。補足するなら、アリサの突っ込みの攻撃力も、以前と比較して増していた。
「にゃっ!?」
「あぅっ!?」
「悲鳴までユニゾンしないの!!」
わざとではない。
せっかくのラブラブな空気を破壊された二人は、それでも反論できないので、精一杯の抵抗として恨みがましい視線を向ける。
そしてふと二人同時に視線を戻し、結果として再び見つめ合う形になり、
「――にゃ、にゃはは……」
「えへへ…………」
ただそれだけで、頬を緩めて笑い出した。幸せオーラ全開ダダ漏れである。ゾンビみたいな再生力の結界やなー、とはやては失礼な感想を抱いた。
まるで改善されない状況に、ついにアリサは頭を抱え――――
「……あああああっ、もーーーー!! ベタベタし過ぎるの、禁止ぃーーーー!!!!」
――――切実な願いが、広い青空に響き渡った。
恋する乙女が無敵というのは、少なくとも彼女たちに限って言えば、限りなく真実に近かった。
「アリサちゃんもすずかちゃんと仲良うすればええやん。そしたらあたしは遠慮なく守護騎士の皆とべたべたするで」
「ええいうっさいわ! 羞恥心が無かったらそうしてるわよ!!」
「……あ、あはは…………私は別にいいんだけどな、アリサちゃん」
Comment
顔のにやけと笑いが止まらんw
なのはさん自重しろwww
なのはさん自重しろwww
Posted by: tukai |at: 2007/05/29 6:57 PM
>「どうしよう、――――フェイトちゃんがはやてちゃんに汚されちゃう!!」
>「さっき、割り込むみたいに『ぶっちゃけあれこれ』……って、あれ言ったの、すずかよね?」
>「えへへ、何のことかなアリサちゃん?」
>「――――地面にぶつければ、止まるから!!」
>「金色の鎌を持つ死神が背後に居るんで、その話はちょっと」
こんかいの笑い死にポイントです。
もう言葉がないです。素晴らしいです。
流石はなのはさん。
ただでさえ「向かう所敵無し」なのに更に無敵モードに入りましたか…
一体誰がそんな彼女を止めるですか全く!
責任とってフェイトさん、貴女の腕の中だけに永遠が終わるまでずっと留めておいて下さい。
あと、はやてさん&アリサさん&すずかさん
「策士策に溺れる」って言葉を贈呈。
>「さっき、割り込むみたいに『ぶっちゃけあれこれ』……って、あれ言ったの、すずかよね?」
>「えへへ、何のことかなアリサちゃん?」
>「――――地面にぶつければ、止まるから!!」
>「金色の鎌を持つ死神が背後に居るんで、その話はちょっと」
こんかいの笑い死にポイントです。
もう言葉がないです。素晴らしいです。
流石はなのはさん。
ただでさえ「向かう所敵無し」なのに更に無敵モードに入りましたか…
一体誰がそんな彼女を止めるですか全く!
責任とってフェイトさん、貴女の腕の中だけに永遠が終わるまでずっと留めておいて下さい。
あと、はやてさん&アリサさん&すずかさん
「策士策に溺れる」って言葉を贈呈。
Posted by: LNF |at: 2007/05/29 8:50 PM
ちょwwすごすぎwww
いや、想像以上の展開にもんどり打って笑わせて頂きました。なんというDAI☆暴走。そして、クロノの被害者属性に全俺が泣いた!(ぉ
いや、想像以上の展開にもんどり打って笑わせて頂きました。なんというDAI☆暴走。そして、クロノの被害者属性に全俺が泣いた!(ぉ
Posted by: 柏岡明 |at: 2007/05/29 9:39 PM
どちらかというと、もうすこしなのは観点が増えてくれてたほうがよみやすかったですね。あとはやてがどうクロスケを踏み潰し?をしていたのかが分かりにくかったです。 でもまぁ二人はもちつたてとこで。
Posted by: mayu |at: 2007/05/29 10:08 PM
すごい、凄すぎて涙が止まらない(涙
すごい個性のある、なのフェイ作品ですね、とっても楽しませて頂きました≧≦
常にトップギアで爆走中〜♪でもしっかりと、なのフェイ≧≦
なのフェイ好き好きにはたまらない仕様となっていることは間違いないです!ハァハァ////
私は、あの米軍のエースパイロットに感謝しています
彼が、なのは様の要望にしっかりとこたえられるだけの技量を持っていたからこそ、世界が滅びずにすんだというもの
さすが世界最強の軍隊だ
すごい個性のある、なのフェイ作品ですね、とっても楽しませて頂きました≧≦
常にトップギアで爆走中〜♪でもしっかりと、なのフェイ≧≦
なのフェイ好き好きにはたまらない仕様となっていることは間違いないです!ハァハァ////
私は、あの米軍のエースパイロットに感謝しています
彼が、なのは様の要望にしっかりとこたえられるだけの技量を持っていたからこそ、世界が滅びずにすんだというもの
さすが世界最強の軍隊だ
Posted by: とぅうふ |at: 2007/05/30 12:17 AM
これは…ヤバイ…!
面白すぎていろいろな思いが吹っ飛んで行きました〜
とりあえずなのは、もちつけ。
面白すぎていろいろな思いが吹っ飛んで行きました〜
とりあえずなのは、もちつけ。
Posted by: ぐらんぐ |at: 2007/05/30 12:43 AM
フェイトがいないだけで、動揺しまくりのなのは。
フェイトも同じとは正に相思相愛。
アリサじゃなくても何かが吸い取られてしまいます(笑)。
フェイトも同じとは正に相思相愛。
アリサじゃなくても何かが吸い取られてしまいます(笑)。
Posted by: ユリかもめ |at: 2007/05/30 3:41 PM
言いたい事を全部他の人に言われてしまった(笑)
とりあえず、これは笑ってもいいんですよね?(笑)
笑いをこらえるのに必死だった。
感動した!
とりあえず、これは笑ってもいいんですよね?(笑)
笑いをこらえるのに必死だった。
感動した!
Posted by: オズナ |at: 2007/05/30 5:32 PM
まず、作者にミリタリー知識はありません。それと作中に登場する全てはフィクションであり、実在するそれらとは一切関係ありません、とここに宣言します。特に米軍の人にごめんなさい。大怪獣映画のやられ役みたいなものだと思って見逃してください。
>tukai様
全くです。このままではなのはさん、人間災害指定を受けかねません。
>LNF様
次元宇宙の未来はフェイトさんの愛に掛かっています。フェイトさんもなのはさんの同類である、というのが懸念事項ですが。
>柏岡明様
最初から馬鹿話であるとは決まってたのですが、むしろ序盤が釣りみたいな感じになってしまいました。クロノは思考が物凄くわかりやすいので突っ込み役として大変に書き易かったです。
>mayu様
仰る通りです。特に視点については視点移動が多過ぎる、と読み返しながら思いました。今後に生かせるようにします。
>とぅうふ様
正直なのフェイファンにこそ怒られる作品かもしれない、と思っていたのでそのお言葉は大変にありがたいです。単座のコクピットに二人乗りで最短レコードを刻んだ操縦士は表彰されてもいいと思います。
>ぐらんぐ様
なのはさんがふっ飛ばしたのかもしれません。フェイトさんを与えれば落ち着いて頂けるかと思われます。
>ユリかもめ様
フェイトさんも相当におかしいはずなのになのはさんのせいで若干まともにすら見えます。私も書いてて色々吸い取られました。
>オズナ様
正直笑いについては、書いてる側は本当にわからないので、笑っていただけたなら幸いです。原作でキャラが完成されているが故、ですね。
沢山のコメントをありがとうございました。
書いてるときは自分が書いてるものが他人にどう見えるか、というのが本当にわからないので、予想しなかった好意的なコメントの数々が大変嬉しかったです。
色々な意味でアレな作品を、時間を消費して読んでくださった皆さんに、心よりの感謝を。
>tukai様
全くです。このままではなのはさん、人間災害指定を受けかねません。
>LNF様
次元宇宙の未来はフェイトさんの愛に掛かっています。フェイトさんもなのはさんの同類である、というのが懸念事項ですが。
>柏岡明様
最初から馬鹿話であるとは決まってたのですが、むしろ序盤が釣りみたいな感じになってしまいました。クロノは思考が物凄くわかりやすいので突っ込み役として大変に書き易かったです。
>mayu様
仰る通りです。特に視点については視点移動が多過ぎる、と読み返しながら思いました。今後に生かせるようにします。
>とぅうふ様
正直なのフェイファンにこそ怒られる作品かもしれない、と思っていたのでそのお言葉は大変にありがたいです。単座のコクピットに二人乗りで最短レコードを刻んだ操縦士は表彰されてもいいと思います。
>ぐらんぐ様
なのはさんがふっ飛ばしたのかもしれません。フェイトさんを与えれば落ち着いて頂けるかと思われます。
>ユリかもめ様
フェイトさんも相当におかしいはずなのになのはさんのせいで若干まともにすら見えます。私も書いてて色々吸い取られました。
>オズナ様
正直笑いについては、書いてる側は本当にわからないので、笑っていただけたなら幸いです。原作でキャラが完成されているが故、ですね。
沢山のコメントをありがとうございました。
書いてるときは自分が書いてるものが他人にどう見えるか、というのが本当にわからないので、予想しなかった好意的なコメントの数々が大変嬉しかったです。
色々な意味でアレな作品を、時間を消費して読んでくださった皆さんに、心よりの感謝を。
Posted by: HAL |at: 2007/05/31 5:19 AM
なのは最高です、STS本編のなのはよりずっと魅力的なんじゃないかなと思いました。途中から笑いが止まらなくて、画面読むのに一苦労でした。(^^)
しかし、すずか...「ぶっちゃけあれこれしたい」...なんというツッコミw
しかし、すずか...「ぶっちゃけあれこれしたい」...なんというツッコミw
Posted by: knf |at: 2007/06/01 7:13 PM
違うサイトで化け物じみたなのはがいたが
これは別の意味でやばい・・・
武力には関わらない方がいいと初めて本気で思った
なんというかもう好きにしてくれ
これは別の意味でやばい・・・
武力には関わらない方がいいと初めて本気で思った
なんというかもう好きにしてくれ
Posted by: 孝 |at: 2007/06/01 7:53 PM
あぁもう…何と言うか色々最高です!なのフェイ万歳!!
例の「携帯動画」を是非全種見てみたい
そう切に思ったのは自分だけでは無い筈。
HALさん、素敵な時間をありがとう!
GJです!!
例の「携帯動画」を是非全種見てみたい
そう切に思ったのは自分だけでは無い筈。
HALさん、素敵な時間をありがとう!
GJです!!
Posted by: 龍史 |at: 2007/06/01 11:45 PM
>knf様
フェイトさんにとっては魅力的かもしれませんが、それ以外の人にとっては災厄に等しいのではないかと。
すずかさんは、これを書き上げた後StSサウンドステージ01を聞いたら、本当に隠れセクハラ担当だったんでむしろ私が吹きました。
>孝様
過ぎた軍事力は悲劇しか生まない、というのが今作のテーマです。嘘ですすみません。原作のなのはさんに良識があってよかったです。
>龍史様
すずかさんの携帯動画はおそらく専用のSDカードを用意する程度には量があるだろうと思われます。そしてなのフェイフォルダの隣には厳重にパスワードのかけられたアリサさんフォルダがあるのでしょう。
感想をありがとうございました。消費した時間に見合う内容であったなら幸いです。
フェイトさんにとっては魅力的かもしれませんが、それ以外の人にとっては災厄に等しいのではないかと。
すずかさんは、これを書き上げた後StSサウンドステージ01を聞いたら、本当に隠れセクハラ担当だったんでむしろ私が吹きました。
>孝様
過ぎた軍事力は悲劇しか生まない、というのが今作のテーマです。嘘ですすみません。原作のなのはさんに良識があってよかったです。
>龍史様
すずかさんの携帯動画はおそらく専用のSDカードを用意する程度には量があるだろうと思われます。そしてなのフェイフォルダの隣には厳重にパスワードのかけられたアリサさんフォルダがあるのでしょう。
感想をありがとうございました。消費した時間に見合う内容であったなら幸いです。
Posted by: HAL |at: 2007/06/03 5:13 AM
こんなに面白い小説を初めて見ました。笑い死にしそうなんですが・・・www特に、頭のネジが二、三十本とんだ後のなのはさんの暴走っぷりが。もうだめだ・・・本当に笑い死ぬ・・・
Posted by: megane |at: 2007/06/05 9:41 PM
>megane様
光栄なお言葉をありがとうございます。コレより面白い小説などネットにはごろごろしてますが、ひと時の潤いにでもなったのであれば幸いです。
光栄なお言葉をありがとうございます。コレより面白い小説などネットにはごろごろしてますが、ひと時の潤いにでもなったのであれば幸いです。
Posted by: HAL |at: 2007/06/08 12:39 AM
全 力 全 壊 ってなのはサイコー
Posted by: ユウキ |at: 2007/06/20 1:46 AM
>ユウキ様
おお……初めて指摘された……。正直その部分は、なのはさん的に違和感無さ過ぎてもしや気づかれてないのかもしれない、と思ってたので安心しました。
おお……初めて指摘された……。正直その部分は、なのはさん的に違和感無さ過ぎてもしや気づかれてないのかもしれない、と思ってたので安心しました。
Posted by: HAL |at: 2007/06/26 4:37 AM
なぜか二回目を書いている俺がいる
とりあえず世界に魔法があっても死ぬほどやってみたいと
思ってもたぶんできないんだろうな〜と思う今日この頃
一回目読んだ時、全力全壊の壊の字がなんか間違ってる!ってことに気づかなかったなんて不覚
少なくともやっぱ悪魔だ〜ってことを再確認した
とりあえず世界に魔法があっても死ぬほどやってみたいと
思ってもたぶんできないんだろうな〜と思う今日この頃
一回目読んだ時、全力全壊の壊の字がなんか間違ってる!ってことに気づかなかったなんて不覚
少なくともやっぱ悪魔だ〜ってことを再確認した
Posted by: 孝 |at: 2007/07/24 9:02 PM
恋する少女は凄すぎ?つか、全力全開もほどがあるだろ?というのが第一印象。感想としては笑い死にしかけました。
Posted by: ナナメ |at: 2007/11/17 11:06 PM
いやぁ、爽快ですな〜
話の流れが自分の読むテンポにあっていて、ガァーーーって読めちゃいました。
特に後半、アリサとすずかのダブルアサルトにあぅあぅだったなのはが、一転して、
秘めたるソウル解放
↓
愛の波動に目覚めたなのはインストール
↓
理性、その他etc.リミッター一斉解除
↓
フェイトの元へTAKE OFF.
な一連シーンからは、脳の処理速度限界突破で突っ走りました、もーオーバーヒートで焼け付きそうです〜。
いろんな意味で‘熱い’なのフェイをありがとうございました!!
話の流れが自分の読むテンポにあっていて、ガァーーーって読めちゃいました。
特に後半、アリサとすずかのダブルアサルトにあぅあぅだったなのはが、一転して、
秘めたるソウル解放
↓
愛の波動に目覚めたなのはインストール
↓
理性、その他etc.リミッター一斉解除
↓
フェイトの元へTAKE OFF.
な一連シーンからは、脳の処理速度限界突破で突っ走りました、もーオーバーヒートで焼け付きそうです〜。
いろんな意味で‘熱い’なのフェイをありがとうございました!!
Posted by: JollyRoger |at: 2007/12/10 8:44 PM
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