お嫁さんはどっち?
2006.07.02 Sunday | category:なのはSS(フェイト×なのは)
親戚の結婚式に出かけたなのはの帰りを待つフェイト。女の子同士だと結婚はできないんだよね……、と悶々とする話。
世間的にはフェイトがなのはのお嫁さんというのが一般的のようですが、個人的にはなのはがフェイトのお嫁さんの方が良いなぁと思う次第。いや、どっちでもいいんですけどね。SS第一作(非公開)と展開がモロ被りだけど気にしないことにする。
世間的にはフェイトがなのはのお嫁さんというのが一般的のようですが、個人的にはなのはがフェイトのお嫁さんの方が良いなぁと思う次第。いや、どっちでもいいんですけどね。SS第一作(非公開)と展開がモロ被りだけど気にしないことにする。
日曜日の昼下がり。私は部屋でひとり、ベッドに腰掛けてぼんやりしていた。
「……なのは」
枕をぎゅっと抱いて、今はここにいない少女の名前を呟く。
今日は、なのははいない。知人の結婚式に招待されたとかで、午前中から家族で出かけてしまった。
――結婚式、かぁ。
ドラマで見た、結婚式の映像を思い出す。鳴り響く教会の鐘、純白のウェディングドレスを着た花嫁さんと、並んで立つ白いタキシードのお婿さん。誓いの言葉と、誓いのキス。
ずっとずっと、2人で生きていくという、誓いの場面。
『ずっと側にいるから……』
この間のなのはの言葉を思い出して、顔が熱くなる。連想ゲームみたいに、思い浮かぶのはウェディングドレスを着たなのは。……すごく、綺麗だ。
「って、なに考えてるんだろ……」
枕に顔をうずめて、私はベッドに倒れ込む。誰が見てるわけでもないのに、気恥ずかしくてたまらない。
勝手に妄想して勝手に恥ずかしがって、これじゃ変な子だ、私……
しばらくベッドの上をごろごろと転がって――それから私の脳裏に、ふっとひとつの考えが浮かんだ。
――なのはもやっぱり、お嫁さんに憧れたりするのかな。
この世界では、女の子同士では結婚はできない。その事実が、小さな棘となって私の心に刺さる。
ウェディングドレスを着て、教会に佇むなのはは、きっとすごく綺麗だろう。……だけど私は、その隣には立てない。
私はなのはが好きで、なのはも私が好きと言ってくれた。女の子同士でも、関係ないと。
けど、それはやっぱり普通ではないのだ。どっちも花嫁さんの結婚式なんて、きっとすごく変な図だから。
「…………」
いつか、なのはの隣には、誰か男の人が立つのだろうか。そして私は――それを見送るしかないのだろうか。
――そんなの、嫌だ。
「なのは……」
急に寂しさが押し寄せて、私は強く強く、枕を抱きしめる。
……なのはの顔が見たい。声が聞きたい。――こんな不安を、いつもの温かさで、溶かしてほしい。
ひとりの部屋は、静かで。昼下がりの陽射しは温かいけれど……それは、なのはの温かさには、あまりにも足りなくて。
ベッドに倒れ込んで、私は目を閉じる。
――なのは、早く帰ってきてよ。
呟こうとした言葉は、声にもならずに、口の中を転がって、消えた。
◇
夢を見た。
結婚式の夢。
――なのはと、見知らぬ誰かの、結婚式の夢。
なのはが笑っている。隣の誰かを見上げて、幸せそうに笑っている。
その笑顔が、私にはあまりに遠くて。
だんだん、遠ざかっていって。
呼ぶ声は、言葉にならなくて。
――私は。
◇
……目が覚めたとき、最初に感じたのは、唇に当たる柔らかな感触。
視界がぼやけて、目の前になにがあるのか、一瞬解らなくて。
「ん……わ、わわわ」
そんな、聞き覚えのある声と一緒に、唇の感触が離れる。
――そこで、ようやく意識が覚醒した。
「なの、は?」
数回まばたきして、私は身体を起こす。なのはは何故か顔を赤くして、俯いてしまった。
――えっと、今……
その仕草に、目覚めた瞬間のいろいろなものがひとつに繋がって、私も顔が一気に沸騰しそうになる。。
つまり、今、寝てた私に、なのはが……
「か……帰って、たんだ、なのは」
「あ、う、うん……」
照れくさいのを誤魔化そうと、話を振ろうとしたけれど、全然会話は続かない。ちょっと気まずい沈黙。
……ああ、でも。
眠りに落ちてしまう前の、寂しい静けさとは、それは違っていた。
すぐそこに、なのはがいる――それだけで、部屋の中の空気は、すごく温かく感じられる。
「……えと、フェイトちゃん」
ふと、なのはが声をあげた。そして私が何か返事をする前に――ぎゅっと。
なのはの腕が、私の背中に回される。
「な、なのは?」
「んー、フェイトちゃん分を充電中ー」
頬ずりしてくるなのは。むぎゅ、と押しつけられるなのはの温もりに、鼓動が高鳴る。
あるいはそれは、赤くなった顔を見られないようにするための、なのはの照れ隠しなのかもしれない。
「……なのは。結婚式、どうだった?」
私の口からこぼれたのは、そんな言葉。
「うん、すごく素敵だったよ。……あんな綺麗なお嫁さんに、なってみたいな」
――そんな、素直ななのはの言葉に、私は、
「……でも、女の子同士だと、結婚できないんだよね」
「え……?」
「フェイトちゃんのお嫁さんに、なれたらいいんだけどな」
えへへ、と照れ笑いを浮かべるなのは。
「あ、でもそれだと、フェイトちゃんもお嫁さんになるのかな……?」
両方お嫁さんって変だよね、と首を傾げるなのはに――なんだか、ふっと力が抜けた。
ああ、私は何を不安になっていたんだろう。
――ずっと側にいるから。その言葉は、紛れもない誓いだった。
私は、ずっとなのはの側にいる。結婚とか、そんなことは何も関係ない。
ただ、側にいたいから。なのはの隣に、いつまでもいたいから。
それだけで、充分なんだ。
「……だったら、私はお婿さんでいいよ」
「フェイトちゃん?」
「なのは……もし結婚できたら、私の、お嫁さんになってくれるかな」
――その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか。
返事は、優しいキスだった。
Comment
とりあえずマジな話、オランダとどこかでは同姓婚が可能なはず。
まぁ法律がどうであれ『事実婚』手も在るし、双方ともに高位の魔導士だから子供自体も何とかなりそうだし、高町家もハラオウン家も二人の仲を認めるだろうから二人ともお嫁さんでも可ですね。
あ、でもタキシードなフェイトってかっこいいかも…
まぁ法律がどうであれ『事実婚』手も在るし、双方ともに高位の魔導士だから子供自体も何とかなりそうだし、高町家もハラオウン家も二人の仲を認めるだろうから二人ともお嫁さんでも可ですね。
あ、でもタキシードなフェイトってかっこいいかも…
Posted by: なのフェイ至上主義者 |at: 2007/01/24 10:06 PM
>なのフェイ至上主義者さん
アメリカでも州によっては可能ですねー。
フェイトさんは王子様役が似合うと思うのですよ。無印なんかは完全になのはさんの方が王子様ポジションですけども。フェイト:王子様、なのは:白雪姫の学芸会話も考えましたが絶対もうどこかで書かれてると思って没にw
結婚ネタは次の短編でやる予定ですのでどぞお楽しみにー。
アメリカでも州によっては可能ですねー。
フェイトさんは王子様役が似合うと思うのですよ。無印なんかは完全になのはさんの方が王子様ポジションですけども。フェイト:王子様、なのは:白雪姫の学芸会話も考えましたが絶対もうどこかで書かれてると思って没にw
結婚ネタは次の短編でやる予定ですのでどぞお楽しみにー。
Posted by: 浅木原忍 |at: 2007/01/24 11:49 PM
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