DOG×CAT?(プレ版)
2007.05.20 Sunday | category:なのはSS(アリサ×すずか)
目が覚めたら犬がいた。
「……はへ?」
いや、それ自体は大して珍しい話ではないのだ。
10頭を越えるバニングス家の飼い犬たちは、昼は庭で放し飼いにしているけれど、夜は基本的に家の中にいる。部屋まで連れてきて、一緒に寝たりすることだってある。だから、起きたら部屋に犬がいるという状況は、あたし――アリサ・バニングスの場合においては、そう驚くようなことでもない。
そのはずだったのだけど――この状況はさすがに想定外だった。
だって、犬は犬でも、今朝そこにいたのは。
あたしのベッドに潜り込んで、その尻尾を振りながら、耳をぴくぴくさせている犬は。
「ふぁ……あ、おはよう、アリサちゃん」
他の誰でもない――すずかだったのだから。
◇
「はーやーてーっ!」
『ん、何やアリサちゃん、朝早くから元気いっぱいやなー』
電話の向こうから聞こえるのは、ひどく呑気な声。
「白状しなさいっ! すずかに何したのよっ!」
『すずかちゃん? どうかしたん?』
華麗にすっとぼけちゃって、アンタしかいないでしょうが!
「何よあの犬耳と尻尾! どうせまたアンタが魔法で何かやったんでしょーが!」
『犬耳と尻尾? すずかちゃんに? ……アリサちゃん、まさか犬好きが高じてそないな方向に行ってまうとは……グッジョブや』
ビシッと親指を立てるはやて。電話越しでそれが解るのは何故かとかツッコミは禁止。ついでにぼたぼたと液体が零れる音がしたけど気にしないことにする。
『あとで写真送ってなー。と、お湯沸いたみたいや。ほななー』
「え、ちょっと、こら、……あーっ、もう!」
ヤカンの音がしたかと思うと、こちらが何か言う暇も無く通話は切れてしまう。沈黙した携帯を見下ろして、あたしは深く深く溜息をついた。
――と。
「アリサちゃん?」
ひょっこりと、背中から覗きこんでくるすずかの顔。ピンと立った耳がこめかみのあたりをくすぐって、「ひゃっ」とあたしは声をあげてしまう。
「す、すずかっ、びっくりさせないでよっ」
「あ、ご、ごめんね……」
すずかが俯くのに合わせて、しゅんと耳が垂れる。……ぅ。
「……で、すずか。……その耳と尻尾、何なの?」
「え? 耳と尻尾?」
きょとんと首を傾げるすずか。……自覚無しなわけ?
ゆらゆらとその背後で尻尾が揺れる。…………ぅぅ。
「…………え、えええっ!? な、なにこれっ!?」
ぺたぺたと頭に手をやって、ようやくその耳に気付いたらしく、素っ頓狂な声をあげるすずか。あたしが差し出した鏡を覗きこんで、その耳を突いたり引っぱったりしながら、目を白黒させている。
「と、取れない……ど、どうしよう、アリサちゃん」
「どうしようったって……」
あたしにどうしろって言うのよ。
「……うう、なんでこんな……」
困り果てた顔でおろおろするすずか。
ぱたぱた。ふさふさした尻尾が揺れる。……ぅぅぅ。
「……すずか」
「うん?」
「お手」
ぽむ。
あたしが差し出した手に、すずかは条件反射みたいに右手を乗せた。
「はぇっ!?」
全く無自覚の行動だったらしく、遅れてすずかは頓狂な声をあげる。
「……おすわり」
ぺたん。
また条件反射。ぺたりとその場に座り込んだすずかは、おろおろしたまま上目遣いにあたしを見上げた。
ぱたぱた。尻尾が揺れる。……ぅぅぅぅぅ。
「あ、アリサちゃん……」
困ったように視線を泳がせたすずかは、……それから少しためらうように首を傾げて、
「……わ、わんっ」
「――――ッ」
今度はあたしが条件反射。咄嗟に口元を押さえて視線を逸らす。
……ま、まずい。今のは色々と、その、危険だ。
「あ、アリサちゃん?」
落ちつけ、落ちつけアリサ・バニングス。深呼吸だ、オーケイ深呼吸。
すー、すー、はー、すー、すー、はー……よし、落ちついた、
「アリサちゃん……」
耳元で声。視線だけで振り向くと、またすずかがあたしを覗きこんでいて、
――ぺろ、
「ひぁっ!?」
温かくて湿った感触が頬をくすぐって、あたしは思わず声をあげてしまった。
す、すずか、今……な、舐めた……?
「……ぁ、ぁぅ、ぁぅぁぅぁぅ」
振り返れば、すずかは座り込んだまま、おろおろとしていて。
ぱたぱた。……尻尾が揺れる。
ぱたぱた、ぱたぱた。……あたしを幻惑するみたいに、尻尾が。
「アリサちゃん……その、えと……わぅ」
しゅんと垂れた耳。
ほんの少し涙目になったすずかの、上目遣いの眼差し。
――ぱたぱた、
ああ、なんだかもう、駄目だ。
――可愛すぎる。
「すずか……よしよし、おいでおいで」
「ぁ……」
手招きすると、すずかは素直に寄ってくる。
その頭をぎゅっと抱きしめて、頭を撫でてやると、すずかは耳元で心地よさそうな吐息を漏らした。
「よーしよし、いいこいいこ」
「あ、アリサちゃん……」
すずかは恥ずかしげな声をあげるけれど、ぱたぱた振られる尻尾が喜んでいるのを雄弁に表している。
「ほれほれ、気持ちいい?」
「ゎ……ゎぅ……」
喉元のあたりをくすぐると、切なげな声をあげてくたりとすずかはあたしにもたれてきた。
ここで喜ぶとか、ホント犬そのものよね……。
ゆったり尻尾を揺らしながら、あたしの首筋に頬ずりするすずかの髪を、優しく撫でる。
……何か色々とダメな気もするけど、これはこれで幸せかもしれない。
というか、こんな格好のすずかを家に帰すわけにはいかないし、となるとウチでお世話しなきゃいけないわけで。
つまり、すずかがウチの飼い犬……そしたら首輪とか……それで、すずかとこのままずーっと一緒に……
……ああああっ、やっぱりダメよダメよその発想は人として色々とダメよあたしっ!?
「アリサちゃん……わぅ」
顔を上げ、すがるようにあたしを見上げてくるすずか。
――ああ、人としてダメだけど、もうそれでもいいかも……。
犬すずかがあまりに可愛すぎるのがいけないのだ。うん。そういうことにしてしまおう。
「すずか……あんた、うちの子になる……?」
「え……えええっ!?」
「そんな格好じゃ帰れないでしょ? うちでお世話してあげるから……」
――あたしの犬になりなさい。
いや、この台詞はどうだろう。色んな意味でアレすぎる。
「だ、ダメだよ、そんなの……」
困ったように俯くすずか。
「あたしと暮らすの、すずかは嫌?」
「え、えと……そうじゃなくて……」
きゅっとあたしの胸元にしがみつくと、すずかはひどく恥ずかしそうに顔を伏せて、
「……一緒に暮らしたりするのは、その……お嫁さんとして、の方が、いい……」
――――はい、理性クラッシュ。
「――じゃあ、犬と飼い主じゃなくて、恋人らしいこと、しよっか」
「え? ……んむっ」
目をしばたたかせるすずかの唇を、強引に塞ぐ。
隙間から滑り込ませた舌を、すずかはおずおずと受け入れて。
すずかの口の中を貪りながら、あたしは背中に回していた手で、それを掴んだ。
「――――っ!?」
きゅっと握った瞬間、すずかの身体がびくんと震える。
唇が離れ、舌と舌の間に糸が伸びて……そして。
「ひぁっ、ん……アリサ、ちゃ、だめ、」
切なげな声を、そんな耳元で囁かれてしまっては、もう手を止められるはずもない。
「すずか……尻尾、触られるの、気持ちいいんだ?」
「ぁ……ぅ、はぅ」
ふさふさの尻尾を、そっと撫で上げると、くすぐったそうにすずかは身をよじって。
柔らかな毛並みの触り心地に、なんだかあたしまで気持ちよくなってくる……。
「アリサ、ちゃ……ん」
不意に、とろんとした目で顔を上げるすずか。
そして――いきなり、あたしの首筋に顔を埋めた。
「す、すずか? ……ひゃっ」
すずかの舌が、首筋から鎖骨にかけて這う。その感触に一瞬力が抜けて、気がつくとあたしはすずかに押し倒される格好になっていた。
見つめ合う視線。すずかの背後で揺れる尻尾。どちらももう、言葉は無くて。
――あとはもう、お互いに貪り合うばかりなのだった。
(to be continued...?)
Comment
つづくの+すずかの犬化!? でもやっぱり,すずかの自作自演だったりして?発端は師匠に違いない。
Posted by: mayu |at: 2007/05/20 6:54 PM
ここで止めるとかw
生殺しだwww
続き気になる><
生殺しだwww
続き気になる><
Posted by: くー |at: 2007/05/20 6:57 PM
最近、どーにもアリすず分が不足していたのですごく助かった!
ごちそうさまでしたーw
でも続きが気になってごろごろ・・・。
ごちそうさまでしたーw
でも続きが気になってごろごろ・・・。
Posted by: みぃ |at: 2007/05/20 9:04 PM
すずかの可愛さにドキドキですよ
続きが気になりすぎます
続きが気になりすぎます
Posted by: 鴇 |at: 2007/05/20 9:25 PM
おおっアリサ攻めだっ!
やっぱりアリサ攻めもいいものですね…(何
自分も、みなさんと同じく続きが気になります。
ですが、続きですずかの犬化が解けてしまうのも…何だか勿体ない!(ぇ
やっぱりアリサ攻めもいいものですね…(何
自分も、みなさんと同じく続きが気になります。
ですが、続きですずかの犬化が解けてしまうのも…何だか勿体ない!(ぇ
Posted by: maisyu |at: 2007/05/20 10:31 PM
浅木原さん、まさかそないな方向にいってしまうとは…グッジョブや(えー
あーもう!すずかが可愛すぎです!!
う〜ん、アリ×すず素晴らしきかな♪
あーもう!すずかが可愛すぎです!!
う〜ん、アリ×すず素晴らしきかな♪
Posted by: りーりー |at: 2007/05/21 12:30 AM
……あ、犬化すずかを妄想したら鼻血が(爆)
いやもうなんてゆーかね…
浅木原様、頼みますから我々を悶死させないで下さい。
もうね、可愛いとかGJ!とか素晴らしいとか。
全ての言葉が陳腐に思えます。
続きは何時までも待ちますよ?
いやもうなんてゆーかね…
浅木原様、頼みますから我々を悶死させないで下さい。
もうね、可愛いとかGJ!とか素晴らしいとか。
全ての言葉が陳腐に思えます。
続きは何時までも待ちますよ?
Posted by: LNF |at: 2007/05/21 3:34 AM
後編はアリサが猫化?
それもまたよし(ぉ
それもまたよし(ぉ
Posted by: kit |at: 2007/05/21 8:01 AM
そういえばとらハ1にはさくら、2には美緒、3には久遠とケモノ娘はお約束なんですよね。すずか嬢が犬化…ということは後編では本能のままアリサを食べるのですね!
Posted by: ミヅキ |at: 2007/05/21 1:47 PM
久々のアリすず。
しっかり堪能させてもらいました。
しっかり堪能させてもらいました。
Posted by: ユリかもめ |at: 2007/05/21 3:39 PM
とりあえず、やばいなんてレベルと違う
もう完璧な別次元、さっさと続き書けと無茶苦茶言ってしまう
とにかく・・・
精神とんだ・・・(バタっ
もう完璧な別次元、さっさと続き書けと無茶苦茶言ってしまう
とにかく・・・
精神とんだ・・・(バタっ
Posted by: 孝 |at: 2007/05/21 7:58 PM
浅木原さん、あなたは僕らを萌え死なせたいのですか(笑)
実は僕は、動物そのものは猫が好きなのですが、耳っ娘となると犬がいいというわけのわからない人間です。
だから・・・、これは、もう、たまらんですなぁ(笑)
続きを楽しみにしています!
実は僕は、動物そのものは猫が好きなのですが、耳っ娘となると犬がいいというわけのわからない人間です。
だから・・・、これは、もう、たまらんですなぁ(笑)
続きを楽しみにしています!
Posted by: オズナ |at: 2007/05/22 4:58 PM
極甘にこっちの脳がクラッシュしそうです(笑)やっぱり師匠のアリすずは最高ですっ!
タイトルからして、次はやっぱりアリサの猫化でしょうか。もう続きが気になって仕方無いですw
タイトルからして、次はやっぱりアリサの猫化でしょうか。もう続きが気になって仕方無いですw
Posted by: 霧崎和也 |at: 2007/05/27 3:43 AM
ミヅキ氏の「本能のままアリサを食べるのですね!」のせりふで
”喰う”のほうを思い浮かんでしまう私はだめだorz
ぜったいニコニコのしょこたん画像集に毒されてる…
”喰う”のほうを思い浮かんでしまう私はだめだorz
ぜったいニコニコのしょこたん画像集に毒されてる…
Posted by: 最近 |at: 2007/06/06 8:59 PM
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