The honey holiday
2007.04.30 Monday | category:投稿&頂き物SS
ピピピピピピピピ!
「ふにぃ………」
ベッドで安眠をむさぼっていたわたしの耳に、目覚ましのコール音が入って
きた。
うう、うるさいなあ。
毛布から右腕をにょきっ、と出して、手探りでベッドに備え付けのボタンを
見つけて押した。
同時に収まるコール音。ああ、静かになった。
目をつぶる。
……………
うう、中途半端に眼が覚めちゃったよ……
起きようかなあ。でも、今日は連休の初日で、早く起きる理由は無いし。
今日くらいはお寝坊さんしてもいいはずだもん。
それに、昨日の夜はフェイトちゃんと、その、ベッドの上でがんばっちゃっ
たから、まだすこし眠い。
寝ぼけ眼でベッドの周りを見回すと、ほの暗い部屋の中に、カーテンの隙間
から差し込んだ日の光がアクセントとなって床に筋を作っていた。
あ、まだフェイトちゃんはいるかな? 抱きついてフェイトちゃん分を補給
したいよー。
後で思い返すと、かなり頭の悪いことを考えつつ、フェイトちゃんを求めて
わたしの体がごそごそとダブルベッドの上を彷徨う。
見つからない。うー……シャワーかな? 結構、汗かいちゃったし。
フェイトちゃんとしたあと、そのまま何も着ずに眠ってしまったので、今は
裸だけど、汗を吸って湿ったシーツの肌触りはちょっと気持ち悪い。
わたしもシャワー浴びに行こうかなあ。
うーん、でも、もう少しお布団の中で眠ってたいし……
そんなことを考えていると突然、まぶたに入る光が強くなって、わたしはう
つ伏せのまま、反射的に頭から毛布に包まった。
「朝だよ、なのは。もう起きないと」
まだ霞がかったわたしの頭に、ハスキーな優しい声が響く。
「……うー」
頭だけ毛布から出して、ごしごしと目をこする。
苦笑する気配。
首をちょっとフェイトちゃんのほうに向けた。
「あ………」
開けた窓のカーテンの端を手にしたまま、フェイトちゃんは、黒のレース地
の下着だけでほかにはなにも着けていなかった。
はっきり言おう。凄く綺麗で見とれた。
綺麗な金色の髪、ルビーのような両の瞳。白い肌に黒地の下着がアクセント
になって、女の人特有の胸のふくらみ、ほっそりとした腰、足の付け根を際立
たせていて、裸のときよりも、ずっとえっちだ。
その悩ましげなスタイルで、朝日の光を背にしたフェイトちゃんは天使みた
い。
フェイトちゃんの体をぼーっと眺めていると、フェイトちゃんがわたしの視
線に気付いて、恥ずかしげにちょっと顔を赤らめた。
「なのは、どうしたの?」
「ううん、フェイトちゃん、きれいだなあって思っただけ」
あ、うつむいて黙っちゃった。
耳まで真っ赤。うわぁ、凄く可愛い。
こんな顔をされるとなんだか、ちょっといぢめたくなってくるなあ……よし。
「フェイトちゃんって、胸、大きいよね」
「えっ……」
話題を振られて、フェイトちゃんが口ごもった。何か言う前に、畳み掛ける。
「やっぱり、わたしがいっぱい揉んでるからかな?」
にゃはは、と笑いながら、ちょっと意地悪くわたしが言うと、フェイトちゃ
んの顔が面白いくらいに慌てふためく……と思いきや、ベッドの上に片膝を乗
り出して、わたしを覗き込んできた。
あ、あれ?
戸惑うわたしにフェイトちゃんが、赤くなったまま、恥ずかしげに微笑む。
頬がかっと赤くなるのがわかった。うう、その笑顔は反則だよ、フェイトちゃ
ん……
だというのに。
「うん、なのはの愛情をいっぱいもらって、わたしの胸、すくすく育ってるよ」
こんなことを囁かれて、余計に赤くなった。
「どうしたの、なのは? 耳まで真っ赤だよ?」
風邪でも引いた? とフェイトちゃんが心配そうに聞いてくる。
うう、恥ずかしくて、赤くなってるんだよっ。
フェイトちゃんはそんな私の心情を知ってか知らずか、目をつぶってわたし
の額に自分の額をあてる。
うわあ、目の前に眼を閉じたフェイトちゃんの顔がある……こ、これはこれ
で……うう、胸のどきどきが止まんない……
「うん、熱は無いみたいだ」
安心したような優しい微笑み。
あうあうあう……
「なのは?」
わたしの顔をまじまじと見て、フェイトちゃんは首をかしげ……ぷっと吹き
出した。
あ……
「ふぇ、フェイトちゃん、もしかして、からかってるの?」
「うん、なのはが可愛くてつい」
そして、わたしのおでこにちゅっとキス。うう、悔しいけど全然イヤじゃな
い。っていうか凄く気持ちよくて、嬉しい。
「ふふ……」
ごちゃ混ぜになったわたしの表情が面白かったのか、フェイトちゃんが笑い
をこらえている。
むー……
「えいっ」
「えっ……きゃあっ!?」
フェイトちゃんを無理矢理引き寄せた。
ベッドが僅かに軋んだ音を立て、わたしはフェイトちゃんの手首を掴んで、押
し倒す。
足といわず、腰といわず、わたしとフェイトちゃんの体が絡み合う。
しなやかで温かくて、引き締まった肌の感触。ちょっと汗のにおいの混じった、
フェイトちゃんの甘い匂い。
動いた分だけ筋肉になってる気がする、ってよくぼやいているけど、わたしは
このフェイトちゃんの肌触りが好き。
「ちょ、ちょっとなのは……」
「意地悪なフェイトちゃんにはおしおきだよ……」
五指をフェイトちゃんの肌の上に滑らせる。
瞬間、フェイトちゃんの体が引き攣った。
「ちょっ、なのっ、ひゃっ、うくっ、やめぇっ!?」
「にゃはは♪ フェイトちゃん、この辺が弱いんだよね〜♪」
フェイトちゃんの弱いところなんて全部知り尽くしてるもん。
「えいっ、えいっ、えいっ、えいっ!」
「ひんっ、そこはっ、ら、らめぇ……っ」
しばらくの間、敏感なところをくすぐられて、フェイトちゃんは笑いそうにな
るのを必死にこらえながら、とんとんとん、と涙目でわたしの腕の付け根辺り
を何度も叩いていた。
うーん、もう、許してあげようかな。
動かしていた手を止めて、フェイトちゃんを軽く抱いて、目尻にたまった涙
を拭ってあげる。
フェイトちゃんが目を瞬かせて、わたしの顔を見た。
至近で見詰め合う。
その瞬間。
わたしたちは、胸の高鳴りを覚えるわけでもなく、衝動的にするわけでもなく。
目をつぶって、互いに抱き合って、ごく自然と、唇を合わせた。
「んっ……」
さっきみたいにふざけてるときには恥ずかしいのに、こんなときには、普通
にキスできるわたしたちって、変なのかな?
眼を開けるとフェイトちゃんが目を細めて私を見つめていた。
フェイトちゃんの瞳はきれいなサファイアルビー。はじめてキスをして、は
じめて体を交わして、もう何年もたって。
こうやって自然にキスもできるのに、この宝石のような瞳で、こんな風に見
つめられると、今でもどきどきする。
よく、はやてちゃんが『フェイトちゃんは、なのはちゃんにぞっこんやねえ』
とからかうけれど、それはわたしもそう。
わたしはフェイトちゃんが好き。ううん、言葉だけじゃ、この感情を説明す
ることは出来ない。
フェイトちゃんがいるから、わたしは幸せでいられる。
フェイトちゃんがいなくなったら、わたしはきっと生きていけない。
ふと気付くと、唇を重ねたまま、フェイトちゃんが不満そうに眉を寄せてい
た。こんな顔もフェイトちゃんだと凄く可愛いのだけど。
唇を離す。
「キスしてるときに考え事?」
今度は拗ねた表情。
フェイトちゃんは自分以外の女の子に構うときも、大体こんな顔をして、わ
たしを困らせる。
わたしよりもずっと大人っぽいのに、どうしてこういうところは子供なんだ
ろう、といつも思う。けど、実は、嫉妬するくらい、わたしの事を想ってくれ
てるって考えると嬉しくて、複雑、かなあ……
「誰のことを考えてたの?」
「フェイトちゃんのこと」
「……それならいい」
照れたように微笑んで、わたしの鎖骨をなぞる。
それがちょっとこそばゆくて、わたしはちょっと微笑った。
「えへへ……」
微笑いながら、指でフェイトちゃんの髪を梳くと、私の指の間で金色の髪が
踊り、絹のようにさらさらと流れていく。
フェイトちゃんが心地よさそうにわたしの胸元に頬擦りするように頭を預けて
きた。
「んっ……」
重みでわたしの胸がすこし圧されてちょっと苦しいけど……フェイトちゃんの
息が胸元に吹きかかるのと相まって、しびれるような、むらむらとするこの微
妙な感覚がとても心地いい。
ついでに、どうせなら、直接手で触って、その、揉んでくれてもいいのに、と
か思ってしまう。
うーん、いつのまにか、えっちな体になっちゃったなー。わたしもフェイト
ちゃんも。
苦笑しながら、フェイトちゃんの髪を梳いていた右手で、フェイトちゃんの
頭をゆっくりと、感触を確かめるように撫でる。
同時に空いていた左手で、背中を弄ぶように人差し指で、フェイトちゃんの弱
いところを撫で回した。
「はぁっ……」
フェイトちゃんが悩ましげな溜息を吐いて、足を絡めてきた。
潤んだ瞳で胸元からわたしを見上げる。
「なのは……今日の用事は?」
「んーっと……なにもない、と思うよ?」
「じゃあ、今日はずっとこうしてていい?」
蕩けそうな甘い響きに、わたしの中の何かが首をもたげる。
フェイトちゃんの濡れた瞳が煌いて、暖かくなる優しさとぞくぞくする欲情
の視線が、わたしの瞳をまっすぐに貫く。
うあ、わたしもなんだか蕩けそう……
「フェイトちゃんのえっち」
「……ダメ?」
うう、そんな眼でそんなこと言われたら、ダメなんて言えないよ……
「いいよ。今日はずっといちゃいちゃしてよっ♪」
「うん!」
フェイトちゃんが輝かんばかりの笑顔でぎゅーっとわたしに抱きついて、キ
スの嵐を降らせてきて、蜂蜜のような甘い休日が始まった。
えへへ、今日は一日中甘えちゃうからねっ♪
Comment
蜂蜜のように甘いSSごちそうさまです。
前日にはがんばったようで、そして連休初日の朝から大好きな人と一緒に過ごす。もう、たまりませんねなのフェイは。私はそんな2人にぞっこんです、これからもずっと。
連休中は一日とは言わないでずっと思いっきり甘えちゃってください。
前日にはがんばったようで、そして連休初日の朝から大好きな人と一緒に過ごす。もう、たまりませんねなのフェイは。私はそんな2人にぞっこんです、これからもずっと。
連休中は一日とは言わないでずっと思いっきり甘えちゃってください。
Posted by: 鴇 |at: 2007/04/30 9:33 PM
甘!!
連日といきたいですが,糖度でベットが使い物にならなくなるような気がするのですが大丈夫ですかね。こんなときにありがちな,洗浄糸と乾燥系の魔法があれば良いのに。
連日といきたいですが,糖度でベットが使い物にならなくなるような気がするのですが大丈夫ですかね。こんなときにありがちな,洗浄糸と乾燥系の魔法があれば良いのに。
Posted by: mayu |at: 2007/04/30 10:08 PM
>鴇さん
物語的には甘えようとしたところで、スバルたちの自主訓練に狩り出されるとゆー展開も美味しいんですけどね。(笑)
>mayuさん
その辺は部屋のコーディネートを担当したちびリィンが気を利かせて、丈夫でお手入れ簡単な特注ベッドにしてあるかと(笑)
物語的には甘えようとしたところで、スバルたちの自主訓練に狩り出されるとゆー展開も美味しいんですけどね。(笑)
>mayuさん
その辺は部屋のコーディネートを担当したちびリィンが気を利かせて、丈夫でお手入れ簡単な特注ベッドにしてあるかと(笑)
Posted by: フィールド |at: 2007/04/30 10:46 PM
いや〜これは極甘なのフェイですね〜。
こんなに好き合ってて…それで一緒の部屋になったら、こうなるのは必然ですよね〜。
しかしあまりしすぎると、六課のみんなにバレちゃう日も来るのでは…。
むしろ黙認、いや公認…?
こんなに好き合ってて…それで一緒の部屋になったら、こうなるのは必然ですよね〜。
しかしあまりしすぎると、六課のみんなにバレちゃう日も来るのでは…。
むしろ黙認、いや公認…?
Posted by: maisyu |at: 2007/04/30 11:24 PM
設定がツボにはまって全力で悶えますた。
Posted by: tukai |at: 2007/05/01 12:37 AM
こ、これは…あまりの甘さに糖尿病にかかりそうです(笑)
なのはとフェイトの関係はいつでも公然の秘密というやつですね?
朝っぱらからなのフェイを補充できて満ち足りた一日が送れそうです♪
ごちそうさまでした^^
なのはとフェイトの関係はいつでも公然の秘密というやつですね?
朝っぱらからなのフェイを補充できて満ち足りた一日が送れそうです♪
ごちそうさまでした^^
Posted by: 落葉なみき |at: 2007/05/01 6:42 AM
>maisyuさん
>落葉なみきさん
このお話に限って言うと、このバカップル、プライベートでは場所を選ばず、らぶらぶ放射能(何)を発しているので、秘密でも何でもありません。
むしろ風紀上の問題で、はやてが頭を痛めてます。(笑)
>tukaiさん
悶えていただけたなら本望!
>落葉なみきさん
このお話に限って言うと、このバカップル、プライベートでは場所を選ばず、らぶらぶ放射能(何)を発しているので、秘密でも何でもありません。
むしろ風紀上の問題で、はやてが頭を痛めてます。(笑)
>tukaiさん
悶えていただけたなら本望!
Posted by: フィールド |at: 2007/05/01 7:49 AM
ギリギリの表現がハマリました。
けど、昨晩に続き朝からこれでは体力がもたないような気が。
きっと昼前には寝てるかも(笑)。
けど、昨晩に続き朝からこれでは体力がもたないような気が。
きっと昼前には寝てるかも(笑)。
Posted by: ユリかもめ |at: 2007/05/01 4:05 PM
なまじっか妄想力の高い私にはかなり危険な作品でしたね。
危うく失血死するところでしたよ鼻血で(ぇ
取りあえずまずは輸血パックをプリーズ(爆)
久々にのた打ち回れる作品を有難う御座いました。
つーか誰かコレ漫画化してくれないかな…(切実)
>このお話に限って言うと、このバカップル、プライベートでは場所を選ばず、らぶらぶ放射能(何)を発しているので、秘密でも何でもありません
つまりあそこは周囲に影響を及ぼさないための隔離部屋…
危うく失血死するところでしたよ鼻血で(ぇ
取りあえずまずは輸血パックをプリーズ(爆)
久々にのた打ち回れる作品を有難う御座いました。
つーか誰かコレ漫画化してくれないかな…(切実)
>このお話に限って言うと、このバカップル、プライベートでは場所を選ばず、らぶらぶ放射能(何)を発しているので、秘密でも何でもありません
つまりあそこは周囲に影響を及ぼさないための隔離部屋…
Posted by: LNF |at: 2007/05/01 9:56 PM
>ユリかもめさん
いちゃついてる最中に「くぅ〜、というお腹の虫の音」→一緒に食堂に移動→食事でも「あーん♪」等いちゃつく→その場に居合わせた人々に被災 とゆーコンボで一つ
>LNFさん
ま、漫画化っすか?(汗)
ヤマもオチも無い話なんで、さすがに無理ではないかと(苦笑)
<隔離部屋
あー、それはあるかも。扉には「この門をくぐるもの、一切の羞恥を捨てよ」とか書かれていたり(マテ
いちゃついてる最中に「くぅ〜、というお腹の虫の音」→一緒に食堂に移動→食事でも「あーん♪」等いちゃつく→その場に居合わせた人々に被災 とゆーコンボで一つ
>LNFさん
ま、漫画化っすか?(汗)
ヤマもオチも無い話なんで、さすがに無理ではないかと(苦笑)
<隔離部屋
あー、それはあるかも。扉には「この門をくぐるもの、一切の羞恥を捨てよ」とか書かれていたり(マテ
Posted by: フィールド |at: 2007/05/01 10:37 PM
はじめましコメントしてみました。なんすか、この甘々なSSは。こんなの見た日に、ゃ悶々として眠れないじゃないですか。でも見てよかったです。素敵なSSありがとうです。
Posted by: kazuki☆update |at: 2007/05/02 3:39 AM
どうも、ずいぶん前に一度だけコメントして音信不通だったRealです。
まぁそんなのはさておき
フィールドさん、極甘SS読ませていただきました〜。
これはヤバイですね!何がヤバイかってもうずっと、顔がにやけて悶えっぱなしで、血が足りなくなるところでしたよ(笑)。
とにかく、この虫歯が悪化しそうなほどの甘いSS、どうもごちそうさまでした(笑)。
まぁそんなのはさておき
フィールドさん、極甘SS読ませていただきました〜。
これはヤバイですね!何がヤバイかってもうずっと、顔がにやけて悶えっぱなしで、血が足りなくなるところでしたよ(笑)。
とにかく、この虫歯が悪化しそうなほどの甘いSS、どうもごちそうさまでした(笑)。
Posted by: Real |at: 2007/05/02 2:47 PM
>kazuki☆updateさん
いえいえ、読んで頂けるだけで光栄です。
>Realさん
実は書きあがった後、「エロいだけで甘い話になってないような……?」と思っていたのですが、ちゃんと甘い話になっていたようで安心しました。(笑)
いえいえ、読んで頂けるだけで光栄です。
>Realさん
実は書きあがった後、「エロいだけで甘い話になってないような……?」と思っていたのですが、ちゃんと甘い話になっていたようで安心しました。(笑)
Posted by: フィールド |at: 2007/05/02 11:36 PM
⇒ こじたん (11/17)
⇒ 浅木原 (11/16)
⇒ こじたん (11/16)
⇒ 時の番人 (11/14)
⇒ 置き石 (10/14)
⇒ 葉月 (09/19)
⇒ ろっく (05/17)
⇒ 六仁祝 (08/27)
⇒ はまなす (06/20)
⇒ 橘 奏 (08/10)